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【カーボンシューズって上りや下りも楽に走れるの?】記録を目指すなら、坂の少ないコースがおすすめ!

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ

読んで頂いてありがとうございます!
たくや/ランナーです。都内で医師&ランニングコーチをしています。

今回はカーボンシューズ(ヴェイパーフライ)と、ランニングエコノミーについて書きます。
・短時間で理解・対策ができるようまとめました。
・時間のない方は、白板だけでもOKです。
では早速いってみましょう!!
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こんな経験ありませんか?

マラソン界はカーボンシューズが席捲しています。
走っていると得られる反発から、速く走れている感覚もあると思います

ですが、上りは反発より柔らかさが気になったり、
下りはそのスピードに重心が不安定になった経験はないでしょうか。

本当に上り下りでも、カーボンプレートの利益をえられているのでしょうか。
文献から考えてみましょう。

上り下りのランニングエコノミーを調べた論文から

文献は2021年のコロラド大学のもので、10km35分・ハーフ1時間20分以内で走れるランナー、つまりかなりガチなランナーを対象としています。
非カーボンシューズとしてズームストリーク、カーボンシューズとしては元祖厚底!のヴェイパーフライ4%を比較しています。

トレッドミルで傾斜3度の上り・下りとフラットを走行して、そのエネルギー消費量を比較しています。つまりどのくらい経済的に走れているか(ランニングエコノミー)を確認しています。

研究で用いられたシューズ

今回使用されたズームストリーク6は、ヴェイパーフライ4%の前までナイキの一押しのシューズでした。あのキプチョゲが2015年シーズンに世界記録を目指して使用していたシューズです。
その「ズームストリーク6と比べてランニングエコノミーが4%高い」として、2016年から使用され始めたのが、元祖カーボンシューズの「ヴェイパーフライ4%」です。ということで、カーボンプレート以外の性能は似ているものと考えられます。

そして傾斜度3度の坂とはどんなものでしょうか。トレッドミルなので比較は難しいですが有名な皇居で例えると、上りは竹橋の先の代官町通りの一番斜度がキツイところ、下りは三宅坂の一番斜度がキツイところが近いと思います。

結果・・・特に下りでの個人差が大きい!!

結果ですが、やはり上りや下りでは経済性が低下してしまうようです。特に下りでは大きく上昇する人もいれば、低下してしまう人もいました。文献中では一部のランナーは、体重をシューズに乗せてリラックスして走れていなかったとの記載があります。
カーボンシューズで下りを勢いよく走った時、重心が不安定になるような経験はないでしょうか。そんな状態が、いわゆるパフォーマンスの低下につながっているんだと思います。

ちなみに代謝率1%は、フルマラソン3-4時間のランナーならおおよそタイムが1%変動する感じになります。おそらくアップダウンの激しいコースでは、シューズのパフォーマンスの低下してしまうようです。

結果から考察すると

やはりカーボンシューズは上り下りではパフォーマンスが低下してしまうようです。それはもともとフルマラソンで2時間を切るために、フラットコースを高速で走る目的で作られたシューズだからだと思います。

特に下りでは大きくパフォーマンスを落とすランナーもいますから、そのようなコースの場合は下りの慣れも必要です。

また、12km/時間、10km/時間とゆっくりになるにつれ、カーボンシューズの効果は少なくなってしまうと言われています。フルマラソンが3.5時間、4時間のランナーであれば、特にアップダウンの多いコースやトレイルの場合、カーボンシューズは避けた方がよいかもしれません。

結論~まとめ

特にヴェイパーフライやアルファフライのようなカーボンシューズは、フラットコースでベストパフォーマンスを発揮します。もしシューズの特性を生かしてベストタイムを出したいのであれば、フラットなコースの大会を選ぶとよいと思います。

また、フルマラソンを3.5時間、4時間時間で走るランナーは、カーボンシューズの効果も低いと言われています。そのような方はカーボンシューズを控えるのがよいかもしれません。

最近はZoomフライ3やアシックスのS4のように、シリアスランナーでなくても使いやすいカーボンシューズも出てきています。ですが、上り下りの坂や悪路についてはやはり、カーボンシューズは向かないのではないかな?と感じています。

以上、最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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<参考文献>
・カーボンプレートが入ったクッションシューズのアップ/ダウンヒルの代謝コスト
Whiting CS et al. Metabolic cost of level, uphill, and downhill running in highly cushioned shoes with carbon-fiber plates. J Sport Health Sci. 2022 May;11(3):303-308.(Pub-med
・低速走行時のカーボンプレートが入ったクッションシューズのランニングエコノミー
Joubert DP et al.Effects of Highly Cushioned and Resilient Racing Shoes on Running Economy at Slower Running Speeds. Int J Sports Physiol Perform. 2023 Jan 10;18(2):164-170.(Pub-med
・ランニングエコノミーとタイムの関係
Kipp S, Kram R, Hoogkamer W. Extrapolating Metabolic Savings in Running: Implications for Performance Predictions. Front Physiol. 2019 Feb 11;10:79.(Pub-med

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たくや/ランナーについて
中学・高校・大学と陸上競技部で、そして卒業後もランニングを続けています。フルマラソンのベストは2時間50分。
今は都内の病院で勤務をしつつ、ランステでコーチをしています(日比谷ライドのコーチ紹介)。
発信はおもにNoteでしています(ビアランニングドクターのNote)。

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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