日本最古の地下商店街で発見! 前代未聞の「天才焼きそば」とは?
日本最古の地下商店街『浅草地下街』へ
東京浅草には現存する日本最古の地下商店街がある。戦後復興で賑わいを取り戻していた1955(昭和30)年に開業と、70年近い歴史を誇る商店街が『浅草地下街』(東京都台東区浅草1-1-12)である。
東洋初の地下鉄として1927(昭和2)年に開業した東京メトロ銀座線の駅に直結した、50mほどのレトロな地下商店街には飲食店や雑貨店、理容店など様々な店が軒を連ねている。
怪しげな佇まいの店『ニュー小江戸』
その商店街の中に一際目立つ怪しい佇まいの店がある。店の名前は『ニュー小江戸』。「ニュー」の文字は上から貼り付けてある。聞けば以前は『小江戸』という屋号の立ち飲みの店だったが、その店も前の餃子店の屋号をそのまま使っていたという。『小江戸』は浅草の地下で代々受け継がれてきた名跡なのだ。
店の外にまで漂ってくるソースの香り。狭い厨房でフライパンを振っている店主の喜島春樹さんは、元芸人で今は登録者数7万人越えの人気YouTuberとして活躍する人物。浅草の街の雰囲気に魅せられて店をやりたいと決意。2023年7月にソース焼きそばの店『ニュー小江戸』を創業した。
「この場所に惹かれてしまったんですよね。どうしてもここでお店がやりたくて。自分に出来ることは何だろうと考えた時に、焼きそばが大好きだったので焼きそばなら作れるんじゃないかと。しかしなかなか思い通りの味にならず、改良に改良を重ねて今の味があります」(ニュー小江戸 店主 喜島春樹さん)
メニューは「天才焼きそば」一品のみ
『ニュー小江戸』の看板メニューにして唯一の料理が「天才焼きそば」。麺とキャベツだけのシンプルな焼きそばに、好みの具材をトッピングして自分の好きな焼きそばにカスタマイズしていくシステム。定番の豚肉や目玉焼きの他にも、ポテサラや納豆などの変わり種の具材もある。
さらに1日1回「天才焼きそば」を食べられる「天才サブスク」や、店内で販売されているオリジナルのTシャツを購入し、着てお店に来たらポテサラが永久無料で提供されるサービスなど、喜島さんならではのユニークなアイデアが随所に散りばめられている。
浅草開化楼のパスタフレスカを焼きそばに?
豚肉やウインナー、ランチョンミートに目玉焼き、ポテサラと人気のトッピングをフルカスタムした「天才焼きそば」は、かなりのボリューム。焼きそばの上に乗った具をよけながら食べる未知の体験。まず驚くべきは麺の味わいと食感。他のソース焼きそばとはかなり印象が異なる。
「麺は地元浅草の老舗製麺所『浅草開化楼』さんの「カラヒグ麺」というパスタフレスカを使わせて頂いています。色々試した中でこれしかないと思い、製麺師の不死鳥カラスさんに直接お願いしたのですが、最初はやめた方がいいと止められて。それでも諦めきれずにお願いして、ようやくOKを頂けたんです」(喜島さん)
麺と具材を別のソースで焼きあげる
通常焼きそばは中華麺を蒸したものを使う。本来はパスタに使うパスタフレスカを焼きそばに使うのは前代未聞。喜島さんは試行錯誤を繰り返して、一度茹でた麺に油をまぶしてから寝かせることで焼きそばでも麺のポテンシャルを引き出すことに成功した。
さらに味の決め手となるソースは数種類のソースを独自にブレンド。麺を焼く時のソースと肉や野菜などの具材を炒めるソース、さらに追いソースとそれぞれ異なるものを使う。食べるタイミングが異なるため、店内とテイクアウトで微妙に味付けを変えているのも喜島さんのこだわりだ。
「天才焼きそば」の天才とは誰のこと?
これまでの焼きそばにはないオリジナリティと、喜島さんならではのアイデアにあふれた焼きそばは、確かに「天才」と呼ぶに相応しい一品。しかし、この「天才」というのは喜島さんのことではないらしい。
「僕の焼きそばはお客様が好みの具を乗せて、用意してある色々な調味料を好きなだけ自由に使って頂いて、はじめて味が完成するんです。僕が考えつかなかったようなアイデアもあったりして、最後に美味しく味を仕上げるお客様が『天才』という意味を込めての『天才焼きそば』なんです」(喜島さん)
◾️浅草天才焼きそば ニュー小江戸
東京都台東区浅草1-1-12(浅草地下街)
11:00〜21:00(ドリンクは〜22:00)
水曜定休
※写真は筆者によるものです。
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