元保育士パパが教える【子どもが駄々をこねるときの対処法】~大切なのは子どもが自分の力で乗り越えること
子どもが小さいうちは、自分の思いどおりにならないと泣いて駄々をこねることがあります。家や車の中など家族だけのときだけではなく商業施設や公園などの外出先で子どもが駄々をこねて、困った経験がある人は多いのではないでしょうか。
今回は、子どもが駄々をこねてしまったときの対処法や、やってはいけないことを紹介します。
親が注意すべき2つのこと~「駄々をこねる子=悪い子」ではない!
子どもは誰でも駄々をこねるわけではありません。全くわがままを言わない、聞き分けのよい子もいます。しかし、「駄々をこねる子=悪い子」、「駄々をこねない子=よい子」というわけではありません。むしろ、駄々をこねるのは子どもの自然な姿です。
子どもが駄々をこねたときの対処方を紹介する前に、注意すべき点を2つ解説します。
親が注意すべきこと① 駄々をこねたときに親が適切な対処をする
この後解説をする対処法を、しっかりと実践してください。適切な対処をすれば、成長とともに自分のわがままを抑えることができるようになっていきます。しかし、対処法によっては、駄々をこねることはなくなってもなんでも自分の思うどおりになると勘違いする大人に成長してしまうこともあるため注意が必要です。
親が注意すべきこと② 駄々をこねない子どもこそ要注意
子どもが駄々をこねるのは自然な姿だと言いましたが、駄々をこねない子どもがいるのはなぜでしょうか。人は一人ひとり性格や人間性が違うため、その人がもって生まれた性質もあれば育ってきた環境や経験によって培われたものもあるでしょう。したがって、まるで大人のように聞き分けがよい子どももいます。しかし、本当はわがままが言いたいのに、自分の気持ちをうまく表現できず我慢してしまっているのかもしれません。人は1人で生きていくわけではないので、自分の気持ちを抑えることが必要な場面もあるでしょう。しかし、自分の気持ちをしっかりと伝えることも大切なことです。子どものうちにわがままを言えずにいると、自分の気持ちを我慢するのが当たり前になり気持ちを伝えることが苦手な子になってしまったり、子どもの頃に堪えた気持ちが蓄積して大人になってから爆発してしまったりするケースもあるため、注意しなければなりません。
子どもが駄々をこねる4つの理由
子どもが駄々をこねるには理由があります。主な理由を4つ紹介します。
子どもが駄々をこねる理由① 自我が芽生えたから
「欲しいおもちゃがある」「嫌いな野菜を食べたくない」「片付けたくない」など、子どもは自分の思いを通そうとして駄々をこねます。自我が芽生えてきたからこそ「自分の思い」が生まれ、子どもはその思いを通そうとするのです。つまり、子どもが駄々をこねるのは成長の証と言えます。しかし、いくら成長の証だと思っても、何度も駄々をこねられると大変なので喜んでばかりもいられないでしょう。しかし、さらに成長して駄々をこねなくなったときに、さらなる成長を感じて嬉しく思う日が来ます。駄々をこねなくなったことを、寂しく感じてしまうかもしれません。
子どもが駄々をこねる理由② 気持ちのコントロールが難しいから
大人になれば、分別がついたり人目を気にしたりして思いを抑えることができるようになります。しかし、子どもはまだうまく気持ちをコントロールすることができず、言葉でうまく説明することも難しいため泣いたり大声を出したりすることで気持ちを伝えようとするのです。
子どもが駄々をこねる理由③ 甘えたいから
子どもはただ大人に甘えたかったり寂しかったりして、駄々をこねることがあります。何か買ってほしいものや嫌だと思うことがあるなどの原因がなく駄々をこねているときは、このような気持ちの問題かもしれません。
子どもが駄々をこねる理由④ 体調の問題
発熱など体調を崩して具合が悪いとき、体調の辛さを言葉で伝えることができず、駄々をこねることで伝えようとする場合があります。疲れていたり眠かったりするときも、自分でもどうにもできずに泣いてしまうということもあるでしょう。特に理由もなく駄々をこねるときは、体調を確認しましょう。特に体調に問題がなければ疲れていたり眠かったりする場合もあるので、休ませると落ち着くこともあります。
子どもが駄々をこねたときの5つの対処法
体調に原因があるときは、受診したりゆっくり休ませたりすることが大切です。ここでは、体調以外に原因がある場合の対処法を紹介します。何よりも大切なのは、子ども自身がどうにもならない気持ちを抑えて、乗り越えることです。大人は子どもが自分で乗り越えられるように援助をしましょう。具体的な援助法を5つ紹介します。
子どもが駄々をこねたときの対処法① 気持ちに共感する
「買って欲しいものがある」「まだ帰りたくない」など、子どもが我慢できず駄々をこねるときは頭ごなしに否定せず、まず子どもの気持ちに共感しましょう。「○○が欲しいんだね」「もっと遊んでいたよね」など、子どもの気持ちを言葉にして共感してから、「でも、今日はお金がなくて買えないんだよ」「もう帰って夕ごはんを食べる時間だよ」など、できない理由を伝えましょう。
子どもが駄々をこねたときの対処法② 抱きしめる
気持ちに共感すると同時に、抱きしめるなどのスキンシップを取りましょう。特に、子どもの中に“怒り”や“寂しさ”などの気持ちが強いときは、ぎゅっと抱きしめることで愛情を伝えましょう。抱きしめることで、気持ちが落ち着き場合もあります。反対に、子どもが興奮していてどうにも収まりがつかないときは、抱きしめようとしても嫌がって離れようとすることもあるでしょう。その場合は無理せず、離れて様子を見守りましょう。
子どもが駄々をこねたときの対処法③ ほかのことに気持ちを向ける
子どもが駄々をこねているときは、目の前のことしか見えなくなっている状態です。そのためほかのことに目を向けて、今こだわっていることから気持ちを切り替えることができるようにしましょう。たとえば、買ってほしいものがあるときは「ほら、あっちに遊ぶ場所があるよ。行ってみようか」、まだ帰りたくないなら「おうちに帰ってブロックの続きしようか」など、子どもがほかにも興味をもちそうなことに誘ってみましょう。
子どもが駄々をこねたときの対処法④ 待つ
言葉をかけたり抱きしめたりしても子どもは気持ちがどうにもならず、より一層泣いてしまうこともあります。そのようなときは、しばらく放っておくのも効果的な方法です。気が済むまで泣いたり時間が経ったりすることで、自然と気持ちが収まることもあります。しかし、家にいるときはしばらく離れて様子を見ることができますが、外出先では子どもを放置することはできません。外出先では、人がいない場所に移動して様子を見るようにしましょう。その際は、無理やり子どもを連れて行くのではなく、ほかのことに気を向けて自分で移動するように心掛けましょう。
子どもが駄々をこねたときの対処法⑤ 乗り越えられたときは思いきり褒める
短い時間で子どもの気持ちが収まることもありますが、多くの場合は時間がかかるでしょう。しかし、必ず子どもの気持ちは収まります。そのときは、我慢できたことや自分で気持ちを切り替えられたことをたくさん褒めてください。「我慢できて、本当に偉かったね!」と褒めてもらうことで子どもは我慢することの大切さを学びます。そして、自分が乗り越えられたことを実感し、自信をもつでしょう。この経験の繰り返しで、子どもは少しずつ我慢できるようになっていくのです。
子どもが駄々をこねたときにやってはいけない3つのこと
次に、子どもが駄々をこねたときにやってはいけないことを3つ紹介します。3つとも、ついやってしまいがちなことで実際にやってしまった経験があるという人は多くいるでしょう。今後はやってはいけないことは避け、前述した対処法を実践するようにしましょう。
子どもが駄々をこねたときにやってはいけない方法① 子どもを叱りつける
朝の時間がないときや外出先で人が多い場所などで子どもが駄々をこねると、本当に困ってしまいます。優しくなだめても泣き止むどころかさらにひどく泣いたりパンチやキックをされたりすると、ついカッとなって怒ったり怒鳴りつけたりしてしまうことがあるでしょう。しかし、子どもはさらに興奮してしまったり恐怖のあまりおとなしくなったりするでしょう。しかし、恐怖で押さえつけて言うことを聞かせても、子どもが自分で乗り越えたことにはなりません。子どもの心を傷つけ、自分が大人になって親になったときに、同じことをしてしまうかもしれません。同じように、「○○しないとオバケに食べられちゃうよ」「そんな悪い子は置いて帰るよ」などと脅かすのもよくないことです。親も子どもと同じ忍耐のときです。親子一緒に乗り越える気持ちで、気長に接しましょう。
子どもが駄々をこねたときにやってはいけないこと② 子どもの言うとおりにする
子どもの気持ちを収めようと子どもの言うとおりにしてしまうと、子どもはなんでも泣いて叫べば自分の言うとおりになると思ってしまいます。子どもの気持ちに共感することと、なんでも叶えてやることは違います。また、「帰りたくない」「片付けたくない」「嫌いなものを食べたくない」などの理由で駄々をこねているときに、「おもちゃを買ってあげるから○○しよう」などと物で釣るのも避けましょう。気持ちには共感しつつもできない理由を伝え、子どもが自分で理解したり乗り越えたりできるように心がけることが大切です。
子どもが駄々をこねたときにやってはいけないこと③ 無視をしたり冷たく突き放したりする
対処法として「待つ」ことを挙げましたが、待つことと無視をして突き放すこととは全く違います。子どもをしばらく放っておくとしても、子どもが呼びかけたら返事をしたりときどき声をかけたりして「ちゃんと見ているよ」「待ってるよ」というサインを伝えましょう。子どもに呼ばれても無視をしたり冷たい態度を取ったりするのは、叱りつけると同じように子どもの心を傷つける行為なのでやめましょう。
まとめ
駄々をこねる子どもの行動について解説しました。「子どもは駄々をこねるもの」だと認識し、長い気持ちで接するようにしてください。しかし、駄々をこねるのは子ども自身も疲れて大変なことなので、子どもが駄々をこねる前に防ぐ工夫も必要です。出かける前に「今日はお金がないから、欲しいものがあっても買ってあげられないよ」「○時になったらおかたづけの時間だよ」などと事前に言葉をかけておくようにしましょう。それでも子どもが駄々をこねたら「約束したよね」と言葉をかけることができます。そして約束を守れたら、そのときはたくさん褒めてあげてください。