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前沢氏が搭乗中止した巨大宇宙船「スターシップ」6月6日に4回目の試験飛行を実施

スターシップ©SpaceX

スターシップの4回目となる飛行試験が、6月6日(木)21時~(日本時間)より実施されることが発表しました。一方で、前沢氏による将来の月周回飛行がキャンセルとのニュースも出ており、それらの詳細について解説していきます。

史上最大の宇宙船「スターシップ」宇宙に到達するも大気圏突入後に空中分解

■スターシップと3月に行われた試験飛行結果

スターシップは、スペースXが開発中の世界最大の宇宙船です。スーパーヘビーと組み合わせることで、牛久大仏に匹敵する全長120メートルとなります。

2024年3月14日、スターシップは3回目の試験飛行を行いました。打ち上げから約1時間後、スターシップは再び地球の大気圏へ突入し、インド洋へ着水する予定でした。宇宙船が超高速で大気圏へ突入するとき、逃げ場がなくなった大気が圧縮され、最大1900度の高温に到達します。大気圏へ再突入したスターシップからは、鮮やかに燃え上がる機体と美しい地球の映像が映し出されていました。

しかし、それから間もなくスターシップからの信号が喪失。機体は大気圏突入の負荷に耐え切れず、空中で分解した可能性が高いとのことです。

■6月6日試験飛行の目標は「大気圏再突入を乗り切る」

スターシップ打ち上げの様子©SpaceX
スターシップ打ち上げの様子©SpaceX

4回目となる飛行試験が6月6日(木)21時~(日本時間)に予定されています。今回の目標は「空力加熱を乗り切り大気圏再突入を達成すること」だそうです。

前回の飛行では、軌道到達後にスラスターのバルブ不具合から姿勢が安定せず、予期せぬ姿勢のまま大気圏再突入を迎えてしまったと推定されています。今回はスラスターのハードウェアに改修が施され、より信頼性が増しているとの事です。

■一方、前沢氏はスターシップ搭乗をキャンセル

スターシップ打ち上げの様子©SpaceX
スターシップ打ち上げの様子©SpaceX

2024年以降には、実業家の前沢友作氏と同行者8名がスターシップに搭乗し、月の裏側を通過し地球へ戻ってくる往復飛行が予定されていました。しかし、スターシップの完成の見通しが立っていないことから、6月1日に搭乗のキャンセルを発表します。

前沢氏によると、「このままでは人生計画が立てられず、公募した同乗クルーにも申し訳ない」との理由でした。当初は2023年に打ち上がる計画だったとのことです。

もし今回の試験飛行が成功すれば、スターシップの有人飛行の実現により近づくこととなりますが、確かに月往復飛行となると更に数年先延ばしになってしまうことは避けられないでしょう。

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