「スーパーグッピー」宇宙開発を支える巨大航空機、まるで金属風船のような形をしている理由は?
1960年代に誕生した「プレグナント・グッピー」。その後継機として開発された「スーパーグッピー」は今でも現役で運用されており、アポロ計画からアルテミス計画に至るまでの宇宙開発を幅広く支えています。
本記事ではスーパーグッピーの活躍について解説していきます。
■アポロ計画を支えたスーパーグッピー
スーパーグッピーの最大の特徴は、その胴体が7.6メートルと大きく膨らんでいる点です。さらに、機首が開くことで貨物を出し入れできるようになり、運用性が格段に向上しました。スーパーグッピーは合計7機製造され、NASAが推進したアポロ計画をはじめ、国際宇宙ステーションのモジュールなど、アメリカの宇宙開発において多岐にわたる場面で活躍しました。
■スーパーグッピーから生まれた様々な派生機
スーパーグッピーの派生機として、「ミニグッピー」も開発されています。貨物室は5.4メートルとやや小型化されました。ミニグッピーは合計2機が製造されましたが、1機は試験飛行中に墜落してしまい、乗組員4人が亡くなるという事故も発生しました。
1990年代には、欧州の航空機メーカーエアバスが、スーパーグッピーの後継機として巨大輸送船「ベルーガ」を開発しました。まるでイルカのような見た目をしていますね。
アメリカのボーイング社は「ドリームリフター」と呼ばれる運搬用航空機を開発しています。
■月面探査計画「アルテミス」でもスーパーグッピーは大活躍
そして、近年もスーパーグッピーは活躍しています。今回スーパーグッピーが輸送したのはNASAが推進する月面探査計画「アルテミス」で予定されている新型有人宇宙船オリオンの耐熱シールドです。オリオンは、スペースシャトルの後継機として構想され、宇宙飛行士たちと貨物を月まで送る目的のため開発されました。
スーパーグッピーは現代の宇宙開発も支えている重要な航空機なんですね。なお現在も、エアバス社が位置するフランスのトゥールーズにはスーパーグッピーが展示されておりますので、ご興味がある方は是非ご覧になってみてください。
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