６月７日からスタートする『FIVBバレーボールネーションズリーグ2022予選大会（以下VNL）』を見据えてすでに合宿を行っている全日本男子チームが５月16日、都内で記者会見を開いた。

今回より、五輪出場権に関わる重要な大会に

全日本男子は６月７日からのVNL予選ラウンド第一週（ブラジル）、第二週（フィリピン）、第三週（日本・大阪）を戦い、決勝ラウンド進出を目指す。パリ五輪からオリンピックの出場権獲得が新方式となり、VNLは世界ランキングに影響するポイントがかかる、結果が問われる大会へと変わった。会見でフィリップ・ブラン監督は「目標は、世界ランキング下位のチームやアジアのトップを競うイランからポイントを獲得すること。また世界トップ10のチームにも勝利できるように野心を持って臨みたい」と意気込みを語った。

注目は192センチの長身セッター・永露元稀選手

会見に出席した14名の選手で注目したいのがセッターの永露元稀（えいろ・もとき／ウルフドッグス名古屋）だ。

永露は東福岡高校から東海大を経て名古屋入りを果たした25歳。192センチの長身と、最高到達点330センチという高さを売りとするセッターである。ブラン監督が掲げる「ブロック力の強化」を目的に、2018年の候補入りに続き、２度目のシニア代表入りを果たした。

永露は語る。

「ブロックについてはブラン監督からも、高身長を生かしてブロックできるように日頃から言われています。ほかのセッターと比べて〝長身セッター〟と言われているので、ブロックはもちろんネット際のプレーを見せたい。高さを生かしたプレーが自分の強みだと思っています」

2021‐2022シーズンまで名古屋の指揮を執ったクリス・マクガウン監督からブロックの徹底指導を受けた。

「クリスさんは常にブロック、ディフェンスについて言及される監督で、クリスさんのおかげでブロックに関しては１年間でかなりレベルアップできたし、だからこそここ（日本代表）に来られたと思う。特に僕はサイドで跳ぶ、ブロックの基準のポジションをとる役割なので、他のブロッカーや後ろで守る選手との連携を取りながら練習しています」

全日本の武器であるバックアタックを生かしたい

　セッターとしては石川祐希（パワーバレー・ミラノ）や高橋藍（日本体大／パドヴァ）といったアウトサイドヒッターのbick攻撃※を生かすため合わせていきたいと語る。

「アウトサイドヒッターのバックアタックは全日本の武器だと思っています。僕がそこを使って得点する練習は、今の合宿でしかできない。しっかりコミュニケーションを取りながら続けています。あとは相手ブロックに的をしぼらせないこと、トスを分散させることが大事だとブラン監督からは言われています。ただし、とはいえアタッカーが打ちやすいクオリティが大切。周囲から求められていることにフィックスできるようがんばります」

本格的にセッター一本にポジションを絞ったのは大学に入ってからとのこと。

「セッターとしての経験が浅い分、トスの部分では関田（誠大／クプルム・ルビン）さんとは全然、力が違うと思っています。関田さんのことは以前からすごいセッターだと思っていました。今は関田さんを目標に、一緒に練習しながら自分が成長できるようにしたい」

アタッカー陣との信頼関係と安定感を売りにする関田に対して、長身という潜在能力をフルに生かしたい永露。ガツガツいく性格ではないと本人は語るが、代表での正セッター争いに向けては闘志を全面に出していくつもりだ。

「いいトスを上げ続けるのはもちろんですけど、スパイカーの調子を考えながら、その日のいちばんいい選択をして、トスを上げる。スパイカーが決めてくれればうれしいし、それを一つひとつ積み重ねて勝利につながるのはうれしいですね」

　世界の舞台でそんな勝利を味わうことができるか。６月７日のＶＮＬ開幕に期待したい。

※後衛中央からのはやい攻撃