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田代まさしさんの「盗撮」騒動は、その後どうなっているのか

篠田博之月刊『創』編集長
2015年3月の会見時の田代まさしさん

田代まさしさんの「盗撮」騒動に関して書いた私のブログ記事が7月のヤフーニュース個人ブログの月間MVAを受賞した。読んで下さった皆さんに感謝したい。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yahooroupeiroedit/20150826-00048846/

で、それに関してあの騒動がどうなったのか、少し報告しておこう。というのも、前の記事を書いた時点ではもう少し事態が早いペースで進展すると思って、続報の予告もしておいたのだが、その後7月28日に書類送検が行われたものの、いまだに決着がつかないままになっているからだ。

続報予告を行いながら書き込みをしなかったのは申し訳ないと思うが、これには事情があって、実はあの後、田代さん本人とは何度かやりとりを行った。前回、7月15日に書き込みを行ってすぐに田代さんから「またまた心配とご迷惑おかけしています。 申し訳ございません」で始まるメールが届き、あの騒動について簡単な説明を受けた。

当初、私はそれを公開しようと考えた。周辺の関係者が本人の意向を間接的に伝えても、それがどの程度正確かわからない。微妙なニュアンスも含めて、本人の言葉をそのまま示すのが一番正確だと考えたからだ。

ところが、本人にそう言ったところ、弁護士さんにも発言は止められているし、まだ公開はやめてほしいという。確かにネットで公開すると、それがそのままコピーされ拡散するから影響は甚大だ。そう思って公開をやめた。

前回書いた内容を補足するために、概略の説明だけ行っておくと、盗撮騒動のもととなった事件が起きたのは7月6日、二子玉川駅のホームでのことだった。田代さんが盗撮を行っているという通報を行った人がいて、警察官が駆け付け、田代さんが事情を聞かれた。盗撮した相手とされた当の女性は気づかないまま現場を離れているし、警察は田代さんの携帯電話を押収して調べたが、盗撮画像は発見されなかった。

だからこの事件は盗撮があったかどうか事実関係を争うことになるとなかなか微妙なのだ。ただマスコミが一斉に田代さんが容疑を認めたと報道したのは、警察が田代さんの事情説明からそう判断したためのようだ。本人は、盗撮はしていないがそう思われてもしかたない行動をとったことは認めた、という。

具体的に田代さんがホームでどんな行動をとったかなど、詳細が明らかになるのは少なくとも一件落着してからだ。いずれ検察の判断で、不起訴や起訴猶予、あるいは略式起訴など、何らかの処分が決まるのだが、その前にあれこれ主張して「反省していない」と思われ検察の態度が硬化するのを弁護士は警戒しているのだろう。事件自体は単純だし、本人への事情聴取以外、特別な捜査が行われるわけでもないから、そう時間がかかるわけはないのだが、あれだけ大きな騒動になってしまったために、当局も落としどころをどうするか考えているのかもしれない。

今回の騒動は、田代さんのめんどうを見ている日本ダルクにとっても悩ましい問題だったろうし、サポートを続けてきたふたりの妹さんにとっても辛いことだったろうと思う。田代さんは以前の薬物事件で服役中に奥さんに離婚を求められて応じ、その後は妹さんたちがサポートを続けてきた。田代さんは複雑な家庭環境に育っており、妹さんたちとは年齢も離れている。芸能界で順風満帆だった時代には、田代さんが父親代わりとなって妹たちのめんどうを見てきた。そういう経緯があったから、この何年か何度か事件が起こったが、妹さんたちの兄に対する気持ちは変わっていない。

今回の騒動で、私も幾つかのメディアから取材を受けて、これまでの田代さんとの10年以上にわたるつきあいや前の事件の経過を話したりしたが、何しろ薬物事件だけでも何回か繰り返されているだけに話がややこしい。

そこで、これまで『創』や、田代さんが弊社から出版した著書『審判』に書かれてきた内容をわかりやすく整理して、ホームページに上げることにした。コンテンツそのものは販売中の本と重なる詳しい部分は有料にしたが、全体の流れの部分は無料公開だ。

http://tsukuru-tashiro.tumblr.com/

今回の「盗撮」騒動については、一件落着した時点で田代さんがもう少し詳しい説明をオープンにしてくれるはずだから、もう少しお待ちいただきたい。またこれを機に薬物依存や、田代さんのめんどうを見ている日本ダルクについても多くの人に関心を持ってほしい。私は田代さん以外にも、三田佳子さんの次男とも長いつきあいを保っているし、現在も服役中の元オリンピック体操選手・岡崎聡子さんとも長いことやりとりをしている。いずれも薬物依存を経験した人たちだが、薬物依存というのは本当に深刻な問題だ。いまだに薬物事件が起こるつど、テレビのコメンテイターなどは厳罰を科して刑務所にぶちこんでおくのが一番だという発言をするが、これ自体、日本社会の対応はあまりに遅れていることの反映だ。

薬物依存の克服に長い間取り組んできた日本ダルクは今年30周年を迎え、10月16日には日比谷公会堂で大きな集会を予定している。

http://www.darc-dmc.info/30th%20event.htm

日本ダルクの30周年をめぐる活動や、今回の「盗撮」騒動については、そう遠くない時期に改めて報告を行うことにしよう。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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