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ウェーバー移籍が実現しなかった選手を再びウェーバーにかける。獲得する球団があるとすれば、その理由は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ランダール・グリチック(ロサンゼルス・エンジェルス)Aug 5, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 先月下旬、ロサンゼルス・エンジェルスがウェーバーにかけた6人のうち、5人は他球団へ移籍した。ランダール・グリチックだけは、獲得を申し出る球団がなく、エンジェルスに残った。

 USAトゥデイのボブ・ナイテンゲールによると、エンジェルスは、グリチックを再びウェーバーにかけたという。ナイテンゲールは「どこかが考えを変え、彼を試してみようとするかもしれないので、エンジェルスは外野手のランダール・グリチックをウェーバーにかけた」とXに記している。

 そんな球団はないような気もするが、可能性はゼロではない。

 前回、グリチックと同じタイミングでウェーバーにかけられた選手のうち、エンジェルスからシンシナティ・レッズへ移ったハンター・レンフローとニューヨーク・ヤンキースからレッズへ移籍したハリソン・ベイダーは、どちらもグリチックと同じ、右打ちの外野手だ。

 1人の選手に複数の球団が獲得の名乗りを上げた場合は、そのなかで最も勝率の低い球団が選手を得る。外野手を欲していて、レンフローあるいはベイダーを手に入れようとしたが、勝率がレッズを上回っていたため、獲得できなかった球団――今も外野手を求めている球団――が存在するかもしれない。

 また、球団の事情が変わることもある。

 例えば、今月初旬、マイケル・A・テイラー(ミネソタ・ツインズ)とホルヘ・ソレーア(マイアミ・マーリンズ)は、故障者リストに入った。テイラーは外野手だ。今シーズンはDH出場が多いソレーアも、守備につく時は外野を守る。両球団がグリチックに興味を示す示すかどうかはわからないが、ツインズは地区首位、マーリンズはワイルドカードの3番手に位置している。

 ただ、今シーズン、グリチックは、ロッキーズで64試合に出場し、打率.308と出塁率.365を記録したものの、7月30日にエンジェルスへ移ってからの34試合は、打率.183と出塁率.233だ。ホームランは8本と5本なので、試合数からすると少し増えているが、こちらも、4年前にシーズン31本塁打のパワーを発揮しているとは言い難い。

 なお、グリチックを獲得する球団があり、その球団がポストシーズンに進出しても、9月に入ってからの加入なので、グリチックは、ポストシーズンのロースターには入れない。

 エンジェルスが先月下旬にグリチックらをウェーバーにかけた経緯、各選手の移籍先、その狙いについては、それぞれ、こちらで書いた。

「エンジェルスがFA直前の5人をウェーバーにかけて「売り」に出す。大谷翔平が含まれていない理由は…」

「エンジェルスからウェーバー移籍の5人中3人は、エンジェルスと同じ64勝70敗のチームへ」

「エンジェルスが「贅沢税」を免れようとしているのは、大谷翔平を引き留めるためなのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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