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昨年30本塁打以上の選手は、今年もホームランを量産しているのか。シーズンは3分の1が終了

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ジャッジ(左)とホアン・ソト May 15, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 開幕から5月28日までに、822試合が行われ、レギュラーシーズンの3分の1が過ぎた。162試合×30チーム÷2=2430試合、822試合÷2430試合=33.8%だ。

 昨シーズン、30本以上のホームランを打った選手は、54本のマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)を筆頭に、29人を数えた。このなかに、今シーズンのホームランが0本という選手はいない。

 彼らのうち、41.4%の29人は、今シーズンのホームランが二桁に達している。一方、5本未満の選手も決して少なくなく、27.6%の8人を数える。4分の1以上ということだ。

筆者作成
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 今シーズンの打数は、前者(10本塁打以上)の29人が平均193.2、後者(5本塁打未満)の8人は平均150.8だ。なかでも、ここまで2本塁打のルイス・ロバートJr.(シカゴ・ホワイトソックス)は、28打数に過ぎない。先月初旬に右の腰を痛め、まだ復帰に至っていない。

 ただ、ホームラン1本当たりの打数は、二桁本塁打の29人が平均15.6、5本未満の8人は44.7だ。今シーズンの本数の違いは、打数だけが理由ではない。

 昨シーズン全体と今シーズンのここまでにおける、それぞれの選手の打数/本塁打は、以下のとおり。

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 例えば、オルソンは、昨シーズンが11.3打数/本、今シーズンは24.3打数/本だ。今シーズンは、ホームラン1本を打つのに、昨シーズンの倍以上の打数を要している。昨シーズンがハイペースということもあるが、その前の2シーズンと比べても、今シーズンはペースが落ちている。2021年は14.5打数/本で39本、2022年は18.1打数/本で34本だった。

 ホアン・ソト(ニューヨーク・ヤンキース)、カル・ローリー(シアトル・マリナーズ)、マーセル・オズーナ(ブレーブス)の3人は、今シーズン、ホームラン1本当たりの打数が昨シーズンより1.3以上少ない。

 アーロン・ジャッジ(ヤンキース)は、9.9打数/本→11.8打数/本なので、1.9打数増えているが、それでも、ハイペースであることに変わりはない。今シーズン、ここまでに10本塁打以上の29人中、打数/本がジャッジを上回っている――打数がジャッジより少ない――のは、10.8打数/本(18本)のカイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)と、10.9打数/本(10本)のマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)だけだ。

 昨シーズン、タッカーは、19.8打数/本のペースで29本のホームランを打った。ちなみに、現時点の本塁打ランキングでタッカーに次ぎ、ジャッジと並んでいるガナー・ヘンダーソン(ボルティモア・オリオールズ)は、新人王を受賞した昨シーズンが20.0打数/本(28本)、今シーズンは12.1打数/本(17本)だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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