なぜブスケッツはバルセロからの退団を決めたのか?メッシ、イニエスタ、シャビと築いた黄金時代と決別の時
心のクラブを離れるという大きな決断が下された。
セルヒオ・ブスケッツが、バルセロナを退団する。今季終了時にバルセロナとの契約が満了を迎えるブスケッツだが、クラブからは契約延長を望まれていた。しかしながら、ブスケッツは最終的に新天地へと向かうことを決めている。
「クレの皆さん、こんにちは。今シーズンが、僕のラストシーズンになることを発表するタイミングが訪れました。ここまで、忘れられない道のりがありました。幼い頃から、スタジアムに足を運んだり、テレビで試合を見て、バルサのユニフォームでプレーするというのを夢見ていました」
「だけど、フベニール(ユース)の世代で入団して、トップチームで15年間プレーするなんて、誰が想像したでしょう。生涯のクラブで、サポーターとして、ソシオとして、選手として、キャプテンとして携わり、700試合以上に出場するということは考えてもいませんでした」
これはブスケッツの言葉だ。
■恩師の下でトップデビュー
ブスケッツはバルセロナの選手として、31個のタイトルを獲得してきた。ブスケッツ以上のタイトルを獲得しているのはリオネル・メッシ(35個)とアンドレス・イニエスタ(32個)のみだ。
バルセロナは今季、リーガエスパニョーラの優勝に向かって前進している。リーガ制覇が決まれば、ブスケッツは獲得タイトル数でイニエスタに並ぶ。
バルセロナのカンテラーノ(下部組織出身選手)であるブスケッツだが、彼をトップデビューさせたのはジョゼップ・グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)である。
2008−09シーズン、ラ・リーガ第2節のラシン・サンタンデール戦で、グアルディオラ監督はブスケッツをピッチに立たせた。ラ・リーガ開幕節でヌマンシアに敗れていたバルセロナだが、グアルディオラ監督はヤヤ・トゥーレを控えに回して、ブスケッツをトップデビューさせるという勇敢さを示した。
グアルディオラ監督はバルセロナの“4番”のポジションの選手を探していた。彼自身、ヨハン・クライフ監督の下で、そのポジションを務めていた。ボールを保持して、後方からのビルドアップで試合を構築していくフットボールで、鍵を握るのがアンカーの選手だった。
ブスケッツは指揮官の期待に応えた。現監督のシャビ・エルナンデス、イニエスタと【4−3−3】で盤石の中盤を形成。ファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)で得点能力を開花させたメッシと共にバルセロナの黄金時代を支える選手になった。
Y・トゥーレ、ハビエル・マスチェラーノ、アレックス・ソング、ミラレム・ピアニッチ…。多くのボランチが、バルセロナに到着した。だがブスケッツからポジションを奪える選手はいなかった。
「良いものを持っていた。でも、あのレベルに達するとは、誰も思っていなかった」とブスケッツについて語るのはバルセロナのカンテラで一緒にプレーしたビクトール・サンチェスだ。
「ブスケッツを評価するなら、彼はテルセーラ・ディビジョン(当時実質4部)とラ・リーガの1部で同じようにプレーしていたところだ。責任感に押しつぶされず、決してナーバスにならなかった。テルセーラでも、良い選手だったけど、チームでナンバーワンの選手ではなかった。だけど、カテゴリーの変化というのが、彼のプレーには関係なかった」
バルセロナは2008−09シーズン、セクステテ(6冠)を達成した。いまでも、そのシーズンは伝説になっている。
その中心に、ブスケッツがいたのは間違いない。一方で、2022―23シーズン、最後に残っていた黄金時代のメンバーであるジェラール・ピケとブスケッツの引退と退団が決定した。大きな変化が、バルセロナに訪れている。