【熊本地震 私道問題続報】崩れ続ける団地 大雨でさらなる危険 住民はクラウドファンディング立ち上げ
熊本県によると、20日夜からの大雨の影響で県内ではこれまでに2人が死亡、1人が心肺停止、1人が意識不明となっているほか2人と連絡が取れなくなっている。
各地で土砂崩れなどが発生。宅地ののり面が崩壊するなど、二次災害が発生している。
■「私道問題」を抱える西原村河原地区には避難勧告出されず
熊本県西原村河原地区。
10世帯が暮らしていた団地につながる道が一連の熊本地震によって崩落。公道ではなく私道であったため、修繕ができずにいるとして8bitNewsでも度々取り上げてきた地域だ。
参照「「私道崩落」で数千万円の自己負担 熊本県西原村10世帯からのSOS」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/horijun/20160523-00057951/
先週、再び現場を訪ねてみると私道ののり面の崩落は進み、宅地の地盤に広がる地割れはこれまでの雨や余震などによってさらに広がっていた。団地の「私道問題」は「宅地崩壊問題」に拡大しており、行政からの支援を求める声はさらに切実なものになっていた。
参照「熊本地震2ヶ月 西原村「私道問題」はその後どうなった? 再び現場へ」
そうした中、今回の大雨。さらなる被害が発生した。
団地の住民で、復旧・復興を目指して立ち上げた一般社団法人「まけんばい河原」代表の西村和也さんはこう心情を吐露する。
昨夜12時前、村道に沿った高さ5メートルの宅地塀が降り続く大雨で崩壊し、村道を塞いでいます。
崩れた塀の上に住んでいる住民のかたは、自主的に避難され無事でした。
ちなみに、崩れた塀は本震より歪みを発生し傾いていました。
住人の方も再三に渡り役所に連絡を入れ、役所の方も見に来ています。
ですが、この地区や家屋には村からの避難勧告は出ていません。
二次被害を危惧し、夜中に役場へ連絡をすると…コーンを置いてますよね。
だけでした。
危機管理能力に疑問符がつきます。
法面側は崩れていた土砂が大雨によって畑下側にかなり流されていました。 また道路が崩れると思います。 あと、土砂が畑下側に流れていますので、土留の圧力(横方向への抑え)が弱まりますので、宅地の土砂も横に流れやすくなると思います。
地震のあとの二次災害は、やはり怖いですね。 予算との戦いもありますが、対応を急げば防げたであろう災害に合うのは、皆さん辛いと思います。 半分は人災ではないでしょうか。
■住民たちの手で私道の復旧を、そして地域産業の復興支援「クラウドファンディングスタート」
西村さんたちは地元、西原村や熊本県に対して宅地が傷んでいく様子などを伝え支援をお願いしてきた。西原村役場は「私道は住民の皆さんによる対応をお願いしている」とする方針をとっており、西村さん達はこの2ヶ月間、道路復旧にかかる見積額4千万円近くをどう工面するか頭を悩ませてきた。
私道問題は西村さん達の団地だけの問題ではなく、西原村内のその他の地域でも被害を訴える声が上がっている。また、復旧の遅れによって地域の経済活動にも影響が出ており、震災から2ヶ月以上が経過した今も課題は山積している。
西村さん達は、行政の支援を受け身で待っていても事態は好転しないと判断。道路の復旧にかかる当面の費用や、地域の農家などを支援する取り組みを今週初めにスタートさせた。Yahoo!のネット募金を活用した取り組みだ。まずは300万円を目標にした。
「負けませんよ。自分たちができることをしっかりやっていく。私道だけではなくて、地域の復興につながる取り組みにしていきたいです。まだまだこれからです。」西村さんはそう語る。
Yahoo!Japan ネット募金「西原村内私道の復旧と生産者・農家の方々に支援を!」
http://donation.yahoo.co.jp/detail/5074001/
支援の輪が少しでも広がり、そして行政への支援につながることを願うばかり。
私道問題は、雨や余震の影響で宅地問題に拡大している。国民の生命と財産を守るのは国役目だ。動いてもらいたい。