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レジェンド羽生善治九段、今年度破竹の8勝1敗! 棋王戦本戦2回戦では強敵・菅井竜也八段に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月16日。第50期棋王戦コナミグループ杯・挑戦者決定トーナメント▲羽生善治九段(53歳)-△菅井竜也八段(32歳)戦がおこなわれました。

 羽生九段は1回戦で同じB級1組の大橋貴洸七段と対戦して勝利。A級の菅井八段は2回戦からの登場です。

 10時、羽生九段先手で対局開始。菅井八段は得意の四間飛車に構えました。両者ともに玉を8筋の一段目に構える、工夫の駒組。羽生九段が仕掛けて動き、戦いが始まりました。

 中盤、優位に立ったのは羽生九段。6筋に厚みを築き、上から攻めていく理想的な態勢を得ました。

 終盤、菅井八段も地力を発揮し、差を詰める場面も見られました。しかし羽生九段は非凡な寄せで菅井玉を受けなしに追い込んでいきます。

 20時3分、攻防ともに見込みのなくなった菅井八段は投了。139手で羽生九段の勝ちとなりました。

 羽生九段はこれで棋王戦ベスト16に進出。3回戦で梶浦宏孝七段と対戦します。

 羽生九段の今年度成績は8勝1敗となりました。

レジェンド、依然健在

 日本将棋連盟会長として、日々激務をこなす羽生九段。しかしプレイヤーとしても依然、第一線で活躍する立場にあります。

 今年度は王位戦で挑戦権獲得まであと少しというところまで勝ち進みました。このときはリーグ最終戦で飯島栄治八段に敗れています。

 しかし振り返ってみれば今年度、敗れたのはこの飯島戦だけ。あとは全部勝っているのですから、驚嘆のほかありません。

 新型コロナウイルス感染による休養後、復帰戦となった13日のB級1組2回戦では大石直嗣七段に勝利しました。

 22日におこなわれる王座戦挑戦者決定戦では、永瀬拓矢九段と対戦。もし勝てば、藤井聡太王座への挑戦権を獲得します。

 ファンからはタイトル100期を切望されている羽生九段。日本将棋連盟100周年を迎えた今年、大記録達成となるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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