コロナショックで金利支援。0%で借りられる保険会社等の契約者貸付【10月30日現在】
未だワクチンも開発されておらず、長期戦の様相を呈してきた新型コロナウィルス感染症。失業や収入減、ボーナス削減などで家計が厳しくなった世帯もあることでしょう。
一時的な収入減を乗り切る手段の1つに、生命保険会社等の契約者貸付があります。しかも、生命保険会社によっては、コロナ禍を受けて、一定期間、0%の特別金利で貸し出すところもあります。
4月に書いた同テーマのコラムの第2弾として、2020年10月時点の最新情報を整理しました。
高金利のカードローンやキャッシングなどに走る前に、わが家が加入している保険会社や共済団体の契約者貸付はどうなっているかを確認してみましょう。
■契約者貸付の金利支援
契約者貸付を利用する場合、金利動向や保険会社、契約時期などによって異なりますが、貸付を受ける保険の予定利率に一定利率(0.25~2.00%程度)が上乗せされ、適用利率が決まります。そのため、実際に適用される利率は保険会社や個々の契約で異なりますが、恐らく3.00~6.50%程度と思われます。
2020年3月、新型コロナウィルスによる家計への影響に配慮して、契約者貸付の利率を一定期間、特別金利の0%にする保険会社・共済団体が相次ぎました。それをまとめたのが4月に公開したコラムです。
前回のコラム ⇒ コロナショックで金利減免!金利0%で借りられる保険会社の契約者貸付
その後、多くの保険会社や共済団体が申込期間や適用期間を延長しました。
今回、現状どうなっているのかを再調査したところ、申込は9月までのところが多く、今のところ再延長の発表はないようです。今後の動向によってはわかりませんので、動きがあったらまたお知らせしたいと思います。
なお、コラムを書くにあたって、私自身も2社で契約者貸付を利用しました。今は問題がなくても、今後の影響に備えて予防的に借入れをしておくのも1つの方法かもしれません。
■契約者貸付を金利0%で借りられる保険会社・共済団体
下記は、2020年10月25日現在の情報を整理したものです。申込期間が終了したものも掲載しています。
特別金利の0%で借りられる商品は貯蓄型の保険(終身保険、養老保険、個人年金保険、学資保険など)で、変額型の保険や外貨建ての保険は特別金利の適用がないケースが多いようです。新規の契約者貸付の利用のみなど、対象条件が限定されている場合もあります。
また、契約者貸付が利用できるのは、通常、解約返戻金の50~90%と保険会社で異なりますが、特別金利が適用できる範囲を限定しているケースもあるようです。利用する場合は、必ず事前にご確認ください。
( )内は0%の金利が適用される期間
●2020年5月31日まで受付
・住友生命(3月16日~9月30日)
●2020年6月30日まで受付
・アクサ生命(3月1日~9月30日)
・朝日生命(3月16日~9月30日)
・アフラック生命(3月18日~9月30日)
・オリックス生命(3月16日~9月30日)
・第一生命(3月16日~9月30日)
・大樹生命(3月16日~9月30日)
・日本生命(3月16日~9月30日)
・ネオファースト生命(2月18日~9月30日)
・富国生命(2月18日~9月30日)
・三井住友海上あいおい生命(3月16日~9月30日)
・明治安田生命(3月16日~9月30日)
・メットライフ生命(3月16日~9月30日)
・かんぽ生命(3月16日~貸付日から最長1年間)
・こくみん共済coop[全労済](3月25日~貸付日から最長1年間)
●2020年9月30日まで受付
・東京海上日動あんしん生命(3月18日~9月30日)
・ジブラルタ生命(3月19日~12月31日)
・ソニー生命(3月19日~12月31日)
・SOMPOひまわり生命(3月16日~12月31日)
・プルデンシャル生命(2月18日~12月31日)
●2020年12月31日まで受付
・大同生命(2月18日~2021年3月31日)
●2021年3月15日まで受付
・エヌエヌ生命(2月18日~2021年6月30日)
・JA 共済(3月16日~貸付日から最長1年間)
*各社のニュースリリースより。
*利用する場合は、契約している保険会社・共済団体で詳細を確認してください。
3月時点と比べ、多くの保険会社・共済団体が受付期間や特別金利の適用期間を延長しました。
現在でも申込めるのは3社ですが、適用期間が長いのは、エヌエヌ生命の2021年6月30日と、適用期間が最長1年のJA共済です。
■契約者貸付とは?
契約者貸付とは、加入している生命保険商品の解約返戻金の一定割合まで貸付を受けることができる制度です。利用できるのは契約者本人ですが、手続きをすれば即座に借りられるため、目の前の資金不足には大きな助けになります。契約者貸付を利用しても保障は継続します。
借りられる上限は、保険会社や商品によって解約返戻金の50~90%程度と異なります。契約者貸付を利用する際に事務手数料などの費用はかかりません。
契約者貸付を利用できるのは主として次のような保険です。
・終身保険
・養老保険
・学資保険
・個人年金保険
外貨建て保険や変額型の保険(変額保険・変額年金)でも解約返戻金があるタイプであれば、通常は契約者貸付を利用できますが、上記の特別金利の対象にはなっていないところがほとんどです。また、期間が長い逓増定期や長期平準定期なども契約者貸付が利用できる場合もあります。
■契約者貸付を返済できないとどうなる?
契約者貸付はいわば1年複利で、1年で返せないと金利分が元金に組み込まれ、2年目以降は増えた元金に金利が付きます。
0%で借りられるのが12月31日までの場合、それ以降は通常の金利が付くため、借りたまま放置をしてしまうと借入額が増えてしまいます。2年目以降の金利は、通常は元の契約者貸付の金利が適用されますが、保険会社によっては低く設定されている場合もあります。
契約者貸付で借りた元金と利息が解約返戻金を超えた場合、通知された期日までに払込みをしなければ、保険契約は「失効」、つまり契約の効力が失われます。
失効後も、保険会社が定めた期間内(2ヵ月~3年以内など)に支払えば保険を「復活」させることはできます。ただし、失効期間中の保険料や延滞利息も支払わなくてはならず、また、改めて健康告知も必要です。
大切な保障であるなら、できれば貸付に利率がかかる前に完済したいものですね。
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