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「まだまだ自己記録更新は目指せる」3000m障害の三浦が日本記録で五輪出場を決める

和田悟志フリーランスライター
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

攻めのレースで五輪出場へ

 日本選手権の男子3000m障害決勝。転倒しながらも、自らの日本記録を更新して優勝し、東京オリンピック内定を勝ち取ったのが三浦龍司(順大)だ。

 三浦は5月のテストイベントで五輪参加標準記録(8分22秒00)を突破しており、3位以内に入れば東京オリンピックの代表内定が決まる状況にあった。

 だが、守りに入るのではなく、序盤から攻めのレースを展開した。

 入りの1000mは5月に日本記録を樹立した時よりも2秒遅い2分49秒だったが、そこからペースアップ。

「レースが始まる前にハイペースになると聞いていたが、予想よりも感覚的に遅かった。難しい展開になると思い、自分のやりやすい展開になると思ったので、切り替えた」

 2000mの通過は、日本記録樹立時よりも2秒速い5分35秒。このハイペースに、先頭争いは、三浦、山口浩勢(愛三工業)、青木涼真(Honda)の3人に絞られた。

転倒した直後に、三浦は一気に勝負を決めにかかった
転倒した直後に、三浦は一気に勝負を決めにかかった写真:松尾/アフロスポーツ

 しかし、残り2周の水濠を飛んだ後に、三浦はまさかの転倒。これには三浦も「頭が真っ白になった」という。

 だが、ここからの三浦がすごかった。

「コケたことで焦りもあったので、ラスト1周より早く仕掛けた」

 すぐさま山口、青木に追いつくと、2人の後ろに付くのではなく抜き返し、一気に引き離しにかかった。

 そして、自らの記録(8分17秒46)を1秒以上更新し、8分15秒99の日本記録を樹立。日本選手権のタイトルを獲得するとともに五輪出場を決めた。

「最初の1000mがもう少しペースが上がっても対応できると思うので、まだまだ自己記録更新は目指せると思います」

 19歳の伸びしろは未知数。東京オリンピックでは、決勝進出はもちろん、入賞を期待してもいいのではないだろうか。

その先のパリ五輪は……。いっそう期待も膨らむ。

「サンショーをもっと認知してもらいたい」

 三浦の活躍が呼び水になっているのは間違いないが、今、3000m障害が活況だ。

日本選手権では、ラスト1周で引き離されたものの、山口と青木も五輪参加標準記録をクリアし、東京オリンピック代表に内定した。

三浦に続き、2位の山口、3位の青木も五輪内定
三浦に続き、2位の山口、3位の青木も五輪内定写真:森田直樹/アフロスポーツ

 また、この日、同日開催されたU20日本選手権では、三浦の洛南高、順大の後輩でもある服部壮馬が、8分39秒19のU20日本歴代3位をマークして優勝した。

さらに、同2位の黒田朝日(玉野光南高・岡山)は、三浦のもつ高校記録(8分39秒37)に迫る高校歴代2位・U20日本歴代4位の8分39秒79で走った。

「まだまだマイナーな種目。もっと認知してもらって、盛り上がるような走りをしたい」(三浦)

 そもそも男子3000m障害は、1周421mの間に5台の高さ91.4cmの障害物(うち1台は着地点に水濠がある)があり、3000mを走るうちに障害物を28回、水濠を7回越えなくてはいけない、という過酷な種目だ。

(※トラックの内側に水濠がある場合は1周390mになる)

 3000m障害は通称“サンショー”と呼ばれるが、三浦の活躍でサンショー人気が高まるかもしれない!?

フリーランスライター

1980年生まれ、福島県出身。 大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。 その後、出版社勤務を経てフリーランスに。 陸上競技(主に大学駅伝やマラソン)やDOスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆。大学駅伝の監督の書籍や『青トレ』などトレーニング本の構成も担当している。

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