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登場曲はACE!支配下登録を大親友に誓うオリックス・バファローズ育成4位の坂本一将選手

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
一日も早く支配下選手に!

■オリックス・バファローズからの育成4位指名

危機感をもっての入団
危機感をもっての入団

「今が一番、危機感があるんです」。

そう言って表情を引き締めたのは、今年度のプロ野球ドラフト会議で独立リーグ・ルートインBCリーグの石川ミリオンスターズからオリックス・バファローズの育成4位で指名された坂本一将内野手だ。

待ち焦がれたNPBからの指名だ。嬉しくて舞い上がっていても不思議ではない。しかし坂本選手は「名前が呼ばれた瞬間も、嬉しいというよりホっとした感じでした。社会人を辞めてきたんでね」と、つとめて冷静に話す。

実は大きな決意をもって、先のドラフト会議を見守っていた。「今年、指名がなければ野球を辞めようと思っていたんです。だから、まだ続けられるというのと、やっと挑戦権を得たなというのでホっとしたのが大きかった」。

■NPBに入りたい一心で独立リーグへ

高校は埼玉の浦和学院高校、大学は東洋大学、そして卒業後はセガサミーへと、いわゆる野球界の“エリートコース”を歩んできた。ずっとプロ野球選手に、NPBに入ることを目指してきた。しかし社会人2年が終わり3年目に入ったころ、思った。「このままではダメだ」と。そこで一念発起し、選んだ道が独立リーグだった。

NPBに指名されるための決断
NPBに指名されるための決断

可能性を考えたのだ。社会人から育成指名を受けることはほぼない。それならば小さくても可能性がある方に賭けた。育成からででも潜りこみ、這い上がる道を選択したのだ。

そして見事、NPBからの指名を勝ち取った。育成であろうが、まずはNPBに入れるのだ。そこから支配下に上がれるかどうかは自分次第であるし、坂本選手には自信がある。だから今の時点では決して喜ばないのだ。「嬉しくないといったら嘘にはなりますけど、ここからもっとやんなきゃという気持ちの方が大きいですね」。浮かれた気持ちは微塵もない。

■常にチームの中心

これまで、どのチームにおいてもムードメーカーだった。チームのカラーを作り、チームを引っ張ってきた。「野球選手として、それがウリというのもおかしいですけど…」と謙遜するが、“精神的主柱”の存在がチームをどれだけ活気づけ、勢いに乗せてきたことか。

練習中も大声で盛り立てる
練習中も大声で盛り立てる

石川ミリオンスターズの渡辺正人監督も「精神的な強さがあるし、チームの雰囲気を変えることができるリーダーシップを持っている」と頼りにしてきた。

チームメイトからの人望も篤い。エースの安江嘉純投手は「自分の調子のいい悪いがとてもわかりづらい人でしたし、どんな時でも周りの雰囲気を作るのがうまかったです。誰とでも話すし、とても話しやすい人です」と振り返っている。

チームメイトからの信頼も篤い
チームメイトからの信頼も篤い

坂本選手本人も「マイナス思考になったことがないですね」自己分析する。「例えばエラーをしても、それを引きずってもう一回するということだけはしたくない。ピッチャーには申し訳ないと思うけど『まぁいいや』って思うようにするんです」。すぐに切り換えて次のプレーに向かうことができるのだ。

「もし打てなくても守れればいいし、走れればいい。声を出せばいい。やることは他にもいっぱいありますから」。だからプレー中に落ち込んだりしたことは一切ない。「まぁマイナス思考になるような性格だったら、セガサミーを辞めてないですしね」と明るく笑い飛ばす。

もちろん、技術面での評価があってこその指名だ。「エラーが本当に少なくて、打たれた瞬間に『ヒットや…』って思ったときにアウトにしてくれるし、ダブルプレーもたくさん取ってくれて、本当に頼りになるショートでした」とは、前出の安江投手の言葉だ。さらに「ピンチのときの声かけのタイミングも、ボクにはすごくよかったです」と明かす。

投手陣を預かる多田野数人ピッチングコーチも「打ち取った打球を、当たり前にアウトにしてくれる」と、その守備力の高さに加え、走力も賛えている。

■阪神タイガースのファーム首脳陣も大絶賛

さらにこんな“証言”も得られた。「めちゃくちゃうまくて、コーチ陣が大絶賛していましたよ」。声の主は阪神タイガース緒方凌介外野手だ。石川ミリオンスターズは今年、タイガースのファームを招いて9月29日に10周年記念試合を開催した。その試合中、タイガースベンチでは坂本選手の動きを高く評価する声が挙がっていたというのだ。

阪神タイガースのファーム首脳陣も認める実力
阪神タイガースのファーム首脳陣も認める実力

東洋大学の同級生にあたる緒方選手は、「もともと動きが機敏でセンスがありました。中高もエリートでやってきて…。でも大学のときはケガが多かったんです。3年まではケガでベンチにも入ってなかった。4年はずっとレギュラーで『2番・セカンド』でしたけど、うまかったですね」と大学時代の坂本選手について教えてくれた。

緒方選手も「坂本が指名されたこと、すごく嬉しかった」と戦友のNPB入りをとても喜んでいる。そして「育成指名ですけど、『あれが大卒で22〜3歳なら本指名(支配下での指名)されるやろなぁ』ってコーチ陣も言っていましたよ」と、その実力が首脳陣の目に留まったことも、元チームメイトとして鼻が高かったようだ。

「一緒にできたらいいなって思っていたんですが、タイガースは育成を獲らない方針ですし。でもオリックスだと近いから、またご飯とかもいけますね」と、そのときを心待ちにしている。「坂本は、まずは西野に勝たないとね。ボクも人のことを言ってる場合じゃないし、お互い頑張らないと厳しい立場なんで」。刺激し合って上を目指すことを誓っていた。

■今成先輩のように、チームを盛り上げるぞ!

そのほか、NPBには頼りになる先輩がいる。同じくタイガースの今成亮太内野手だ。浦和学院の先輩にあたる今成選手からは、ドラフト翌日に「おめでとう。やったな!」と連絡があった。前出のタイガース戦のあとも、食事に連れて行ってもらった。年齢が3つ離れているので一緒にプレーをした経験はないが、卒業後、OB会やコーチの披露宴などで顔を合わせることがあり、「いつも気にかけてくださっているんです」と感謝している。

今成亮太センパイからのプレゼント
今成亮太センパイからのプレゼント

今成選手といえば、タイガースの「ファン感謝デー」やテレビ出演などで発揮するそのタレント性の高さには定評がある“エンターテイナー”だ。一方、「ボクもこういう性格なんで…」と坂本選手も社会人時代の野球教室などでマイクを握り、盛り上げてきた実績を誇っている。

「亮太さんのこと、尊敬しています」と、そのキャラも見習い、今成選手のようにイベントなどで前に出ることもやぶさかではない。ただしそれも支配下登録されないことには話にならないことは重々承知している。

「伸びしろとか、将来性とか言っている年じゃないんで、即戦力になれるよう確実性を見せていきたいです。小技…バントや盗塁とか、エラーしないとか、今までやってきたことに粘りも加えてやっていかないと勝てないですから。今まで以上に突き詰めてやっていきたい」。力強く決意を語った。

■夢は大親友のACEさんのオリジナル登場曲で打席に入ること

素振り中、カメラに気づいて思わずピース
素振り中、カメラに気づいて思わずピース

支配下選手になり、1軍でプレーすることができた暁には、楽しみにしていることがある。保育園から中学まで12年間、ずっと一緒だった大親友が登場曲を作ってくれるという約束をしているのだ。

現在ラッパーとして大活躍しているACEさんが作曲した曲に乗って登場し、安打を積み重ね、ダイヤモンドを駆け回る―坂本選手は必ずその夢を叶えるつもりだ。

坂本一将さかもと かずまさ)】オリックス・バファローズ・育成4位

1990年11月16日生/162cm 65kg/右投 左打

東京都出身/浦和学院高校―東洋大学―セガサミー

50m 5.8秒の俊足で今季19コの盗塁を数える。安定感ある守備では失策数わずか5。攻撃面でも1番打者としてリーグ3位の93安打を記録した。

明るい性格でチームを牽引するムードメーカーである。

ACEエース)】

ブラジル生まれで3歳から東京の新宿で育つ。アニメの影響でラップにはまり、高校生の頃にSound LuckのHIDEと出会い、その後、チームを組む。

バトルイベントやライブ活動の中、独特の即興ラップで頭角を表し、戦極BATTLEやUMBといった大きな大会で上位に食い込むようになり、昨年「STRAIGHT」でソロデビュー。テレビ番組にも引っ張りだこの、今もっとも勢いに乗っているラッパー。

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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