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【Bリーグファイナル第1戦】宇都宮の持ち味であるセカンド・チャンスで試合を支配した千葉が優勝に王手

青木崇Basketball Writer
エドワーズは攻防両面でのハッスルプレーで勝利に貢献 写真/B.LEAGUE

24−6

 Bリーグファイナルの第1戦、千葉ジェッツは宇都宮ブレックスの強みであるセカンド・チャンスからの得点で試合をコントロール。85対65という予想外の大差をつけての勝利で、初のB1制覇に王手をかけた。リバウンドやルーズボールの争いでB1屈指の強さを誇る宇都宮相手に、千葉がセカンド・チャンスを支配するというのは、ほとんどの人が予想できなかったのではないか? もちろん、筆者もその一人だ。

「40分間ハードワークして続けてくれたことが大きな勝因だと思います」

 これは、千葉の大野篤史コーチが記者会見で最初に発した言葉。ファイナルという大舞台で最高のパフォーマンスを発揮しての勝利は、ハードワークとハッスルによって手にしたセカンド・チャンスを最大限生かせたことが大きい。4Q最初のオフェンス、原修太のミスショットがアウト・オブ・バウンズになりそうなリババウンドを奪い、西村文男の3Pショットへとつなげたシャノン・ショーターのハッスルは、相手のお株を奪うようなビッグプレー。11点差を追いかけていた宇都宮にとっては、あまりにも大きなダメージとなるセカンド・チャンスからの失点だった。

 スタッツには出なかったものの、8分36秒にライアン・ロシターがオフェンシブ・リバウンドを奪いそうな局面で、西村がフロアにダイブしてボールを確保しようとしたプレーも見逃せない。アウト・オブ・バウンズになって宇都宮ボールという結果になったものの、試合を通じてルーズボールへの反応で千葉が優勢だったことを象徴するシーンだった。

 セカンド・チャンスとハッスルプレーで主導権を握るきっかけを作ったのは、セバスチャン・サイズとギャビン・エドワーズのビッグマン2人。サイズはこの試合で16本のリバウンドを記録したが、オフェンシブ・リバウンドを2Qだけで5本を奪っていた。エドワーズは3Qの6分23秒間で2本のティップインを含む9点、オフェンシブ・リバウンド3本とエナジー満載のプレーで抜群の存在感を示した。セカンド・チャンスで大きな違いを出せた理由について、エドワーズは次のように振り返る。

「オフェンシブ・リバウンドの大半は努力によるものだと思う。彼らはハードにトラップ・ディフェンスをやってくるので、(富樫)勇樹が言ったようにだれがボールを持っていてもいいショットを放ち、全員でリバウンドに絡むことができればいいことが起こるもの。ショットが入らなくても、またチャンスは巡ってくる。そういったことを一生懸命やってきた。ブレックスはアグレッシブにリバウンドを奪いにくる素晴らしいチームであり、我々が負ける時はそのところで差がついていた。リバウンドにフォーカスできたことで、仕事を成し遂げられたと思う」

 2018年と2019年にファイナルまで勝ち上がった千葉だが、一発勝負でアルバルク東京に敗れての準優勝に終わっている。今シーズンから2戦先勝のシリーズになったとはいえ、“3回連続で悔しい思いをしてたまるか!”という強い気持ちが、ハッスルプレーで宇都宮を圧倒する要因になったと言っていい。それは、負けた宇都宮のライアン・ロシターが記者会見で残した言葉でも明らかだ。

「彼らはここ2年チャンピオンシップに負けているチームであり、すごくハングリーだった。今日の我々よりも勝利に対する貪欲さで上回っていた」

 第2戦のティップオフまでの間、追い込まれた宇都宮は気持ちを切り替えて準備を進めるだけではなく、“BREX MENTALITY”を40分間発揮し続けることが巻き返すための絶対条件。第1戦を振り返ってみると、主力選手が個で打開するシーンがもう少しあってもいいのではないか。その理由は、ビッグゲームになればなるほど、スター選手の飛躍が勝利に欠かせないからである。

 一方、宇都宮の強みである部分で優位に立って勝てたことは、千葉にとって大きな自信になる。「もう1勝しなければ、この勝利は何の意味を持たない」と富樫が語ったように、悲願のタイトル獲得を実現させるには、アグレッシブさと貪欲さのレベルをより上げなければならない。

 Bリーグ創設してから常にライバルとして激戦を繰り広げてきた両チームによる第2戦は、いったいどんな結末を迎えるのだろうか? 15時のティップオフが待ちきれない…。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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