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旭川などで全国初の初雪を観測 季節は長かった夏の延長から急な階段を下りるように冬へ

饒村曜気象予報士
日本海の筋状の雲(10月17日12時)

全国的に寒い日曜日

 10月17日の日曜日は、西高東低の冬型の気圧配置となり、強い寒気が日本列島に南下してきました(図1)。

図1 地上天気図(10月17日12時)
図1 地上天気図(10月17日12時)

 強い寒気の目安となるのは、上空約5500メートルで氷点下30度ですが、この氷点下30度という寒気が北海道北部まで南下してきました(図2)。

図2 上空約5500メートルの気温分布の推定(10月17日昼)
図2 上空約5500メートルの気温分布の推定(10月17日昼)

 また、日本海の約5500メートル上空には、氷点下18度以下という寒気が入って、冬特有の筋状の雲列が沢山できています(タイトル画像参照)。

 このため、北海道の稚内と旭川では平年より2日早く、網走では平年より13日早い初雪を観測しました。

 また、札幌市の手稲山など6つの山で初冠雪を観測しました(表)。

表 初冠雪の「平年」と「令和3~4年(2021~2022年)寒候年」
表 初冠雪の「平年」と「令和3~4年(2021~2022年)寒候年」

 初冠雪の定義は、「山の一部が雪等の固形降水により白くなった状態が初めて見えたとき」ですが、この観測をしているのは、付近にある有人の測候所や気象台です。

 平年に比べれば、早い初雪や、早い遅いがある初冠雪ですが、今年も冬の到来を告げる便りが続々と届いています。

 ただ、この冬型の気圧配置は一時的で、週明けは移動性高気圧におおわれ、その後、週半ばには低気圧が発達しながら通過し、再び冬型の気圧配置が強まる見込みです。

週半ばの寒気南下

 週半ばに南下する寒気は、17日の日曜日の寒気より強いものです。

 気象庁では、5日先までの警報級の可能性を「高」「中」で発表しています。

 これによると、10月20日(水)には、暴風警報を発表する可能性が、東北地方の日本海側から北陸では「中」で、新潟県では「高」となっています(図3)。

図3 週半ば(10月17日)の早期注意情報(上は暴風警報級の可能性、下は大雨警報級の可能性)
図3 週半ば(10月17日)の早期注意情報(上は暴風警報級の可能性、下は大雨警報級の可能性)

 また、北陸地方では大雨警報を発表する可能性が「中」となっています。

 北陸地方では、地表付近の気温がまだ高いことから、雪ではなく雨の警戒です。

 北日本や北陸地方では、気象情報に注意し、早めの冬対策をお願いします。

令和3年(2021年)の秋

 記録的な暑さが続いていた令和3年(2021年)秋の日本列島でしたが、10月7日の大雪山系朝日岳の初冠雪に続いて、8日には、利尻島の利尻富士、網走近郊の斜里岳でも初冠雪を観測しました。

 また、10月7日の北海道では、稚内市沼川で氷点下0.4度、士幌町ぬかびら源泉郷で氷点下0.4度、幌加内町朱鞠内で氷点下0.1度と3か所最低気温が氷点下となり、今冬初めて冬日を観測しました。

 気象観測において、初冠雪、初雪、初霜、初氷と、「初」がつくものは、秋真っ盛りから冬の到来を告げるものですが、最低気温が氷点下となる「冬日」も同じ意味を持ちます。

 このときの寒気の南下は北日本中心で、西日本を中心に記録的な暑さは続いていました。

 熊本市では9月19日から10月14日までの26日間連続で真夏日(最高気温が30度以上の日)でしたし、福岡市も10月に入って7日も真夏日でした(図4)。

図4 福岡市の最高気温と最低気温の推移
図4 福岡市の最高気温と最低気温の推移

 しかし、ここへきての寒気は、西日本まで南下してくる強いもので、平年値を大きく下回るものです。

 月末にかけて気温が少し上がりますが、それでも夏日(最高気温が25度以上の日)にはならない見込みです。

 気温を観測しているアメダスは、全国で920地点ありますが、9月中は20パーセント(184地点)以上で真夏日となった日が時折ありました(図5)。

図5 令和3年(2021年)の真夏日の推移
図5 令和3年(2021年)の真夏日の推移

 しかし、10月に入ると北日本・東日本での真夏日が減ったことから20パーセントを切るようになり、中旬以降は、10パーセントを切っています。

 令和3年(2021年)の秋は、現時点では、長かった夏の延長から、急な階段を下りるように冬へ向かっているといえるでしょう。

タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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