ノート(90) 製造物責任に伴う意外な人事 「栄転か左遷か」という問題について
~回顧編(15)
勾留35日目(続)
意外な人事
この日は、夜のラジオニュースで、大阪地検の新検事正に関する人事が報じられた。引責辞任した小林敬さんの後任だった。驚いたことに、名古屋地検の検事正が横滑りしていた。
検察全体でいえば「東回り」の人で、名古屋もその一つだったわけで、次は札幌や広島あたりの高検検事長に栄進する、というのが通常の流れだった。それが、「西回り」の重要ポストである大阪地検の検事正に座るというわけで、ただごとでない。東回りの検事は西回りを遥か下に見ている。
確かに、検事正全体のランク付けでは東京地検に次ぐ2位に位置するものの、任命に当たって天皇陛下の認証を要し、任命式で陛下から直接お言葉を賜る認証官の高検検事長と比べると、大阪地検検事正は明らかに劣る。次の人事で検事長のポストが用意されているとしても、実質的には望まぬ異動と見ることができた。
これには、多少強引にでも関東の血を関西に注入し、関西人脈や派閥の形成を薄めようとの狙いがあるものと思われた。
製造物責任
ただ、この人事の原因は単にそれだけではないだろうと考えられた。実のところ、この新検事正は、僕の司法修習生時代の検察教官であり、クラスの担任で、僕を検事にすることに決めた一人だった。
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