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梅雨前線南下で関東を中心に連日の暑さ 関東では35度以上の猛暑日も

饒村曜気象予報士
熱中症で暑がる太陽のイラスト(提供:イメージマート)

梅雨前線南下で高温

 令和5年(2023年)6月17日は、梅雨前線が東日本の南海上から沖縄付近に南下したため、西日本から東日本では晴天域が広がっています(図1)。

図1 沖縄付近の梅雨前線に伴う東西にのびる雲と東日本を中心とした晴天域(6月17日12時)
図1 沖縄付近の梅雨前線に伴う東西にのびる雲と東日本を中心とした晴天域(6月17日12時)

 このため、強い日差しにより関東を中心に気温が上昇しています。

 全国に915カ所あるアメダスの気温観測所のうち、288地点(全体の約31パーセント)で最高気温が30度以上という真夏日を、752地点(全体の約82パーセント)で最高気温が25度以上という夏日を観測しました(図2)。

図2 夏日と真夏日の観測地点数の推移(令和5年4月1日~6月17日)
図2 夏日と真夏日の観測地点数の推移(令和5年4月1日~6月17日)

 夏日からみれば、今年一番の多さです。

 ただ、一か月前の5月17日は、真夏日299地点(全体の約33パーセント)、夏日712地点(全体の約78パーセント)で、岐阜県揖斐川で最高気温が35.1度と、35度を上回る猛暑日になっています。

 6月17日は真夏日の観測地点数が5月17日には及ばず、全国一番の気温は、愛知県豊田の34.2度で、猛暑日はありませんでした。

 それだけ、5月17日の暑さは異常だったのですが、6月18日は前日に引き続き強い日射で暖められますので、関東内陸部を中心に最高気温が35度以上という猛暑となる予想です(図3)。

図3 予想最高気温の分布予報(6月18日の予想) 
図3 予想最高気温の分布予報(6月18日の予想) 

 6月18日は、梅雨前線が関東の南海上に南下したままで、前線に近い九州南部~沖縄では雨が降りやすく、所により雷を伴って激しく降る見込みです。

 また、北海道~東北北部は雲が広がりやすく、所によりにわか雨があるでしょう(図4)。

図4 予想天気図(6月18日9時の予想)
図4 予想天気図(6月18日9時の予想)

 しかし、東北南部~中国・四国の広い範囲では概ね晴れる見込みです。

 強い日差しにより関東を中心に気温が上昇するとみられているのです。

【6月18日の最高気温の予想】

群馬県 前橋市 36度

埼玉県 熊谷市 35度、秩父市 35度、さいたま市 34度

茨城県 水戸市 34度

山梨県 甲府市 34度    

比較的低い湿度

 まもなく夏至(6月21日)で、太陽が一年の中でも高い所を通っています。

 このため、晴れると気温が上昇し、紫外線が強くなるのですが、今回の暑さは、梅雨前線が南下した状態での晴れ間です。

 大陸育ちの高気圧の中の高温ですので、湿度が比較的低く、「暑さ指数」も気温の割には高くなく、「厳重警戒」レベルです(図5)。

図5 暑さ指数の予想(6月18日の最高値の予想)
図5 暑さ指数の予想(6月18日の最高値の予想)

 暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)とは、気温・湿度・日射量などから算出する指数で、熱中症を予防する際の目安となっています(表)。

表 日常生活における熱中症予防指針 (日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.4」より)
表 日常生活における熱中症予防指針 (日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.4」より)

 暑さ指数の単位は「度」ですが、気温の単位の「度」と混同しがちなことから、気象庁では、令和5年(2023年)4月に予報用語指針を改訂し、暑さ指数を取り扱う時には、単位を省いて使うことにしています。

 湿度が高く「暑さ指数」も高い「危険」レベルの猛暑日は、梅雨前線が北上し、太平洋高気圧に覆われたときですので、土日の暑さは夏本番の耐え難い暑さの予行演習とも考えられます。

 今年は、夏に向かって平年より早いペースで気温が高くなっていますので、早め早めの暑さ対策が必要です。

沖縄の梅雨明け

 各地の10日先までの天気予報を見ると、梅雨前線に近い九州南部から南西諸島は雨の日が続く見込みです(図6)。

図6 各地の10日間予報(数字は最高気温、ウェザーマップによる)
図6 各地の10日間予報(数字は最高気温、ウェザーマップによる)

 傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が続く予報ですが、鹿児島県奄美地方の名瀬や沖縄県の那覇は、今週末以降、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が続く予報です。

 今週末には、沖縄・奄美地方で梅雨明けになるかもしれません。

 梅雨明けの平年は、沖縄地方で6月21日、奄美地方で6月29日ですので、今週末から来週の初めに梅雨が明けた場合は、沖縄地方は平年より遅い梅雨明け、奄美地方は平年より早い梅雨明けとなります。

 沖縄・奄美地方で梅雨明けということは、梅雨前線が北上して西日本〜東日本に停滞することを意味します。

 今週の梅雨の中休みのあと、来週からは西日本から東日本の本格的な梅雨が始まります。

 今年は、夏にかけて平年より早いペースで気温が高くなっていますので、梅雨の大雨対策に加えて、早め早めの暑さ対策が必要な年であると思われます。

図1、図3、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4、表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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