菓子業界のミライ⑦スイーツのトレンドは「映え」から「健康」に。cottaが仕掛ける新ECメディア誕生
SDGsへの意識向上や、コロナ禍の健康意識の高まりによって年々注目が高まっているのが、プラントベースやヴィーガンにカテゴライズされる植物性素材。しかしスイーツ業界では、小麦粉や卵、バターなどの乳製品が原材料として不可欠であり、本質的なおいしさの面から実現は難しい、と考える職人が少なくなかった。しかし近年は植物性素材の品質や機能性も向上し、「身体にいいから」ではなく「おいしいから」を理由に身体にやさしいスイーツを選ぶ消費者も増えてきた。「より多くの人にお菓子を楽しんでもらいたい」と考える職人も増え、世界的な製菓コンクールではアレルギーフリーで「誰もがシェアできる」お菓子が高い評価を得たケースもある。
cotta×不二製油×トップパティシエがコラボ
そうした中、製菓・製パン材料のオンライン販売などを行うcottaと、植物性油脂や業務用チョコレート、大豆加工素材などの開発製造販売を行う不二製油が業務提携し、身体に優しいお菓子の情報発信・販売を行うECメディア「cotta tomorrow」が5月10日に始動した。
cottaは、個人消費者向けの通販&情報メディア「cotta」と、法人向けメディア「cotta business」を運営しており、月間アクセス数2,800万PV、登録会員数180万人、SNSフォロワー数100万人以上を有する。サイトの立ち上げは2007年だが、トレンド性の高い情報を配信することでファンを増やし、コロナ禍ではテレビ・WEBともに積極的に広告宣伝を展開してさらなる認知を獲得。「手作りお菓子」に関心のある人は誰もが知るメディアとなっている。
「身体にやさしい手作り」を応援する新メディア
「cotta tomorrow」のコンセプトは、「身体にやさしい手づくりを応援する新しいECメディア」。立ち上げの背景には、「コロナ禍で、SNSを通じて消費者の反応の変化を感じた」ことがあったとcotta代表取締役社長の黒須綾希子氏は説明する。cottaはSNSとの親和性が高いこともあり、いわゆる「映え」スイーツについてもいち早く情報や商品を提供してきたが、コロナを経て、消費者のマインドが「健康」や「美容」にシフトしてきたことを敏感にキャッチ。「SNS疲れ」が表面化してきたタイミングでもあり、「本質的に健康的で安心できて、おいしいもの」が求められる時代になると確信したという。
植物性食品素材のトップメーカー、不二製油の商品力を活かす
cottaと2022年5月に業務提携した不二製油は、植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の4事業を柱とする食品製造企業。業務用チョコレートにおいては世界シェア3位、大豆加工製品は国内シェア50%を占める植物性食品素材のトップメーカーだ。「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創する」ことを2030年ビジョンに掲げ、プラントベースフードを新たな事業柱とすべく商品ラインナップを強化している。
パティシエ考案のスイーツも販売
「cotta tomorrow」では、不二製油の豆乳クリームやプラントベースバターなどの製品をはじめ、植物由来の素材を中心にグルテンフリーやオーガニックなど「身体に優しい」お菓子や素材をオンラインで約300アイテム展開。日本国内でのプラントベースフード市場の認知拡大を目指し、製菓材料だけでなく完成品のお菓子も販売するのが特徴で、第一弾は「アステリスク」(東京・代々木上原)の和泉光一シェフが考案した「クルスティアン ショコラ ソイ」が発売に。手作りのレシピや読み物ページなどについても積極的に情報発信を行っていくという。
「cotta」の強みは、単なる情報発信サイトにとどまらず、関心をもってサイトを訪れた消費者に製品の購入までを一気通貫で行える点にある。幅広い世代に影響力をもつ「cotta」がプレイヤーとなることで、植物性素材を中心としたお菓子への注目度はより一層高まるのではないだろうか。