なぜエムバペは“人気銘柄”であり続けるのか?ハーランド、ベリンガム…“279億円”の価値。
マーケットが開くたびに、争奪戦が繰り広げられる。
そういった選手がいる。キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)が、その一人だ。
エムバペは、2024年夏までパリSGとの契約を残している。だが、この夏、「2年+1年延長オプション」という条件で合意した昨夏の契約延長に関して、1年の延長オプションを行使しない旨とクラブに伝え、話題を読んだ。
■絶えないビッグクラブ移籍の噂
そのエムバペの移籍先候補とされていたのが、レアル・マドリーだった。
だがマドリーは無理をしてエムバペを獲得しようと考えていなかった。「エムバペはこの夏にレアル・マドリーに移籍する可能性があった。しかしながらマドリーに移籍するためには、多くのボーナスを諦める必要があった」とはマドリー 幹部のホセ・マヌエル・オテロ氏の弁だ。
「また、この夏に関しては、移籍金が発生することになっていた。契約期間が残り1年というところで、その金額は非常に高額だった。(カリム・)ベンゼマのポジションが空いたとはいえ、契約が切れる1年前に獲得に動くのはあまり意味がなかった」
■高まる市場価値
スペイン『アス』で先日、「市場価値の高い選手」が特集されていた(ソースは『Transfermarkt』)。トップに立ったのはエムバペとアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)で、その価値は1億8000万ユーロ(約279億円)に上る。
それにジュード・ベリンガムとヴィニシウス・ジュニオールが続く。いずれもマドリーの選手で、額は1億5000万ユーロ(約234億円)だ。
市場価値1億ユーロ超えは14名のみだ。先述の4名に、ブカヨ・サカ(アーセナル)、ビクター・オシムヘン(ナポリ)、ジャマル・ムシアラ(バイエルン・ミュンヘン)、フィル・フォーデン(シティ)、ロドリゴ・ゴエス(マドリー)、フェデリコ・バルベルデ(マドリー )、ペドリ・ゴンサレス(バルセロナ)、ラウタロ・マルティネス(インテル)、デクラン・ライス(アーセナル)、ロドリ・エルナンデス(シティ)が加わる。
市場価値はあくまで「指標」である。市場価値が、そのまま移籍金になるわけではない。
例えば、マドリーは2019年夏に移籍金4500万ユーロでロドリゴを獲得している。当時、ロドリゴの市場価値は4000万ユーロだった。なお、そこから4年が経過して、彼の価値は2倍から3倍に膨れ上がっている。そういう意味で、費用対効果の高い補強になったと言える。
■デシャンの言葉
ただ、フットボーラーの価値において、高く評価されるのは、やはりゴールだ。ゆえに、エムバペとハーランドがランキングの1位にいるのだろう。
エムバペは先日、EURO2024予選のオランダ戦で2ゴールをマークした。ミシェル・プラティニ(41得点)を抜いて、エムバペ(42得点)がフランス代表史上最多得点者になった。
「エムバペはベストコンディションではなかった。しかし、彼は自らの足で答えを出した。君たち(報道陣)には申し訳ないけれどね」とはオランダ戦後のディディエ・デシャン監督の言葉である。
「エムバペは責任を負っている。フランス代表で、すべての責任を負っているわけではない。しかし、その役割を担っている。それはピッチ上の話だけではない。ピッチ外でも、そういった立ち回りをしてくれている。それは、彼にとってもプラスに働いている」
「もちろん、ピッチ上では結果を出さないといけない。エムバペの足は良い状態で、私生活においては最近友人が亡くなったことで辛かったと思うが、精神的に落ち着いていた。エムバペがこのグループで重要な存在であるのは間違いない」
次の移籍市場が開くのは2024年1月だ。そして、その半年後、本格的に夏のマーケットが開幕する。
圧倒的なパフォーマンスを続ける以上、その選手の話題が尽きることはない。それがフットボールの常、というものだ。