「ヤフーはこのままでは死ぬ」経営陣がeコマース革命を語る
ネット系ベンチャー企業の経営者らが集まるイベント「Infinity Venture Summit(IVS)2013 Fall」が京都で開かれ、ショッピングの出店料などを完全無料化するeコマース革命を始動させたYahoo!JAPAN(以下ヤフー)、楽天のネット企業、百貨店の三越伊勢丹ホールディングの取締役らが登壇して、「小売り・Eコマースの未来像」を語った。
スマホがあまりに早く流行った
楽天からヤフーに転じた小澤隆生執行役員は、「なぜ、10月にeコマース革命をしたか、スマートフォンがあまり早く流行ってしまったから。PCのキングであるヤフーは生きて行けない。スマートフォンにはポータルがいらず、デバイスレベルで押さえているAppleやGoogleにかなわない。ヤフーが得意として来た広告は人が多く来てくれているから価値があるが、人が来なくなったトップページは広告の価値がどんどん下がっていくというのに危機を覚えた。ヤフーはこのままでは死ぬ、3年後に消えてなくなるかもしれない。人が来ている間に何をやるべきか、成長余地があるEコマースに力を入れようということになった」と明かした。
百貨店ECは勉強不足だった
三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長は「百貨店がなぜダメになったのか、百貨店だから、リアル小売りだから、ではなくて、品揃えの同質化やマーケティング力の低下で、顧客の変化についていけない業界になってしまった。イノベーションが必要になっている」と述べた。
三越伊勢丹HDは、中期経営計画のひとつにウェブ事業の強化を掲げており、EC専用の物流倉庫を開設する予定もある。現在は5から7万点から出店している点数を300万にするという。大西社長は「百貨店ECは勉強不足だった。これから取り組むのは別の次元のことだ」と話した。
ヤフーの川邊健太郎副社長は「ヤフーショッピングに出してください。出店料、手数料がタダですので、ご検討ください」と大西社長に声をかけ、小澤執行役員は「出店してくれ」と楽天ビヘイビアインサイトストラテジー室の北川拓也室長の肩を抱いて誘っていた。
小澤執行役員は「ヤフーが得意なのは、ニュース、天気予報、といった誰でも見るようなコンテンツを見せて行くこと。ショッピングモールのように店舗に営業をかけていくという文化がない。だからメディアになった」と述べた。
読んでいるうちに買いたくなる
北川室長は「楽天のサイトは長いので知られる。20メートルある」と笑わせた。楽天の縦に長い商品紹介のページには、長過ぎる、分割したほうがいい、といった批判もあるが、「思いを余す事なく伝えるにはいくら書いても足りない。お客さんは読んでいるうちに、買いたくなってくる」として「感情価値による購入」というキーワードを上げた。現在は、長いページにある商品概要、客の感想、推奨コメント、などのうちどの要素が効いているのか分析しているという。
大西社長は「オンラインでも、オフラインでも、お客様の感情を揺るがす事が出来ないとダメだ。色々なところとコラボレーションして進めて行きたい」と述べた。