女子プロ野球リーグ2019年度入団テストを実施
女子プロ野球リーグ2019年度入団テストを実施 合否は10月上旬に発表予定
8月に実施が発表され公募していた女子プロ野球リーグ2019年度入団テストが、9月25、26日にわかさスタジアム京都(京都市西京区)で行われました。
2日間で行われたのは、最終選考となる二次選考です。今年度から一次選考としてビデオ選考が導入され、それを通過した人のみが対象でした。テストメニューは、1日目が50m走、遠投、内野外野守備とシートノック、一塁までと二塁までのベースランニング、フリーバッティング、ピッチング、メディシングボール投げ、折り返し走が、2日目は、紅白戦と面接、メディカルチェックです。
最終選考会に臨んだ人たちは、現役高校生や大学生など17歳から23歳までの27名(一次選考通過者28名のうち1名が辞退)でした。
初日のシートノックではピッチャー、キャッチャーも他のポジションにつき、野手も含めた全員がブルペンで投球、翌日の紅白戦でもピッチャーもポジションついては同じで、また、キャッチャーの榎本彩乃さん(神戸弘陵高)や坂口英里さん(神村学園高)、野手の中村柚葉さん(花咲徳栄高)らがリクエストに応じてピッチングを披露していました。
受験者は、年々レベルが上がる傾向に
女子プロ野球リーグスーパーバイザー太田幸司氏は、今年の入団テストを終えて「全体的にバランスのとれた選手が多かった」と話しました。「全国の高校に女子硬式野球部が増えてきているだけあって、応募してくる選手のレベルは年々上がっている」という印象だといいます。
今回の受験者の出身チーム(学校)を見ると、今夏の全国高等学校女子硬式野球選手権大会優勝校の作新学院高や同じく準優勝校の履正社高をはじめ、福知山成美高や神村学園高といった名門校が名を連ねています。また、11月にある第2回女子野球アジア杯に出場するU-18侍ジャパン女子に選ばれている選手5名(榎本彩乃、亀田織音、坂口英里、関桃子、宮里空選手)が入っていたことからも、レベルの高さを伺うかがえます。
さまざまなバックボーンを持つ受験者たち
そのような中、男子硬式野球部に所属していた選手がいました。三浦柚恵さんです。彼女は、神奈川県立藤沢清流高校3年生。177センチと長身で、グランドのどこにいても目立っていました。長い手足を使って繰り出す最速122キロの速球を武器に、ダイナミックな投球がウリのピッチャーです。
女子硬式野球部のある私立には進学はせずに、中学生の時から目標にしていた女子プロを「3年後に目指す」と割り切り地元の公立高校男子硬式野球に所属して部活をしていたのだそうです。
「男子のパワーやスピードに揉まれてやってきたことや、メンタル面で鍛えられたと思う」点が、自分ならではの強みではないかと話してくれました。
実は、彼女、9月初旬に行われたU-18侍ジャパン女子のトライアウトに挑戦するも、不合格になっています。「その時は、気持ちはどん底でした」といいますが、「目標としていたプロテストまであともうちょっと、楽しもう、頑張ろう」と気持ちを切り替えてテストに臨んだといいます。十分にアピールできたと話しました。
他にも、中学までは野球をしていたが、地元の高校には女子硬式野球部がないためにソフトボール部に所属していながらもプロテストを受けに来たという選手や「高校の同級生がプロで活躍しているのを見て、格好いいな」と思い、自分も目指したいと受験した大学4年生の選手もいました。
今年の合否のポイントは総合力
今年の選考のポイントはどのようなところとなったのでしょうか。
太田氏によれば、「伸びしろを見るし一芸に秀でている選手も魅力」としながらも『総合力』にポイントを置いているとのことでした。リーグが誕生して10年、次の10年へ向けて「次代のスーパースターも育てていかなくては」ということから、まず総合力を問いたい、という意図のようです。
また、素質ある投手を見つけ育てたい、とも。「投手のレベルが上がらないと打者のレベルは上がらない。現状、リーグには打力の良い選手が多い。それを上回る投手を育てていく意味でも素材を見つけたい」と、言います。
全選手がブルペンで投球したのも、紅白戦でも投手以外に登板の機会を与えたのもそれが為のようでした。
テストは、全球団の首脳陣も見て採点、話し合いの下、合格者を決めるのですが、「いつもならそれぞれの球団事情で意見が分かれることもあるけれど、今年は、ほぼ全員、一致しているね」(太田氏)とのこと。果たして、どの選手が、来季、プロのユニフォームを着ているでしょうか。
合格発表は、10月上旬頃です。(写真は筆者)