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通算202登板目の初完投でノーヒッター達成。それまでは9イニング目のマウンドに上がったこともなく

宇根夏樹ベースボール・ライター
パトリック・ベイリー(手前)とブレイク・スネル Aug 2, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月2日、ブレイク・スネル(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は、9回裏の2死からエリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)をライト・フライに討ち取り、ノーヒッターを達成した。

 スネルは、タンパベイ・レイズ時代の2018年とサンディエゴ・パドレス時代の2023年に、サイ・ヤング賞を受賞している。だが、ノーヒッターは、今回が初。完投もそうだ。それどころか、9イニング目に入ったこともなかった。

 8月2日は、通算202登板目。その前の登板も、すべて先発マウンドに上がっている。それまでの最長イニングは、2021年8月25日の7.2イニングだった。オプタ・スタッツによると、デビューから先発201登板続けて8イニング未満は、史上最長だという。

 昨シーズン、両リーグ2位の奪三振率11.70とワーストの与四球率4.95を記録したことからも窺えるとおり、スネルは、奪三振と与四球のどちらも多いため、投球数が嵩む傾向にある。今まで完投がなかったのは、これが大きな理由だろう。

 また、スネルは、前半と後半の防御率が大きく違う。短縮シーズンの2020年を除く8シーズンの通算は、前半が防御率3.98、後半は防御率2.39だ。どのシーズンも、前半よりも後半の防御率のほうが低く、メジャーリーグ1年目の3.69と3.45を除くと、前半と後半の防御率は、いずれも1.00以上の差がある。

 例えば、昨シーズンは、前半の防御率2.85に対し、後半は防御率1.54。今シーズンの場合、後半だけでなく前半のイニングも少ないが、前半の35.1イニングが防御率6.31、後半の21.0イニングは防御率0.86だ。

 この夏、ジャイアンツは、ホルヘ・ソレーアをアトランタ・ブレーブスへ放出した。ソレーアが3年4200万ドルの契約1年目であることからすると、同じように、スネルも手放す可能性はあったと思われる。

 スネルは、2年6200万ドルの契約1年目だ。その内訳は、契約金1700万ドルと今シーズンの年俸1500万ドルに、来シーズンは年俸3000万ドルの選手オプションとなっている。トレードが実現しなかったのは、スネルに支払う金額の多さがネックとなったのかもしれない。

 ジャイアンツは、ナ・リーグ西地区1位のロサンゼルス・ドジャースと8.5ゲーム差の4位に位置している。もっとも、ポストシーズン進出の目は、完全に消滅したわけではない。ワイルドカードの3番手、ニューヨーク・メッツとの差は、4.0ゲームだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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