和菓子はいつだって美味しい。と、私は思います。勿論TPOにもよりますが、和菓子ソムリエとして「肌寒い日のおやつにはこちらの和菓子と飲み物で」、「お風呂あがりにはこちらの和菓子が冷蔵庫にあったらいいな」など、常に頭の中に思い描いている日々です。残念ながらお取り寄せ不可の商品や限定商品も思い出してしまうのは、無いものねだりでしょうか。

今回スポットをあてたのは、「大人のチルタイム」。

日々の仕事に家事、育児、場合によっては介護等、自宅で完全にリラックスができる時間というのは限られているかと思います。何も考えず、自分の事だけに専念できるチルタイムには好みもあるかと思いますが、お酒を使ったちょっとご機嫌になれるような和菓子はいかがでしょうか？

今回は落雁でもお馴染み、石川県金沢市にお店を構える「諸江屋」さんにて、お酒を使用した羊羹「うたたね」が登場していたタイミングで出会いました。

キュッとてっぺんを結んだ巾着型の包み。シンプルな白と金色の包装です。手のひらにころんと乗るような愛らしいサイズですが、包みを開くとなんとも優雅な、肩の力がストンと抜けるような芳香。

日本最南端の有人島と呼ばれる波照間島。その波照間島の特産品でもある黒糖を使用した羊羹には、一般的にお菓子にあわせる量よりもたっぷりのウイスキーを掛け合わせているとのこと。それだけではない、ふくよかでウッディな薫香はどこから…と思いきや、なんと中には栗の甘露煮ではなくマロングラッセ！なんてお洒落…。

甘さは控えめでも黒糖の華やかな魅力が口いっぱいに広がる羊羹、ねっとりとしたマロングラッセのコンビネーション。今回は特別に、ホットコーヒーにウイスキーをほんの少したらしていただきました。じっくり和菓子と向き合う時間、というのも大人ならでなの粋なひとときではないでしょうか。

こちらのほかにも、お酒を使用した和菓子は意外と沢山。今回のようなウイスキーだけではなく、日本酒や焼酎、はたまたビールといったその土地のクラフト酒とよばれるお酒やリキュールをあわせたもの、赤ワインを使用したものなど、探してみるとお取り寄せなどでも見つかるかと。

和菓子と酒、大人の贅沢。次はどんな和菓子を紹介しましょうかね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ