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強い寒気が南下し全国的に気温低下、東京は特に寒く11月下旬の気温

饒村曜気象予報士
寒さに震える女の子のイラスト(提供:イメージマート)

強い寒気の南下

 北海道を低気圧が前線を伴って通過し、その後、大陸から高気圧が張り出し、寒気が南下してきました(図1)。

図1 予想天気図(10月24日9時の予想)
図1 予想天気図(10月24日9時の予想)

 南下する寒気の強さは、上空約5500メートルの気温で判断し、氷点下30度以下であれば強い寒気、氷点下36度以下で非常に強い寒気の南下という目安があります。

 現在、5500メートルで氷点下30度以下の寒気が北海道から日本海に南下しています(図2)。

図2 上空約5500メートルの気温分布予想(10月24日朝の予想)
図2 上空約5500メートルの気温分布予想(10月24日朝の予想)

 気温からすれば強い寒気ということになりますが、地表面付近がまだ冷えていないこの時季としては非常に強い寒気に相当しています。

 このため、日本海側の地方は大気が非常に不安定となり、午前中から雨や雷雨となる所があり、午後はその範囲が広がりそうです。

 太平洋側の地方も、晴れ間があっても午後は大気が不安定となり、夕方以降は急な雨や雷雨に注意が必要です。

 北海道は断続的に冷たい雨が降り、山沿いを中心に雪となる見込みです。

 令和4年(2022年)は、6月から記録的な暑さとなり、9月の残暑も長かったことから、暑い夏の期間が長かった年といえるでしょう。

 10月上旬には寒気の南下で11月末並みの気温に下がり、早い冬の訪れでした。

 その後、全国的に気温は平年より高くなったのですが、ここへきて再度の寒気南下で11月末並みの気温となっています。

 気象庁の寒候期予報ではラニーニャ現象によって寒い冬になるとなっていることから、寒い冬の期間も長そうです。

 日本は春夏秋冬という四季の国といわれていますが、秋と春が短くなって夏と冬の二季の国になっている感じがします。

気温予報の利用上の注意点

 今回のような寒気が南下しているときは、気象庁の発表する気温予報に大きな注意点があります。

 それは、あすの天気予報における最低気温は、「0時から6時までの間の最低気温(朝の最低気温と表現)」であり、最高気温は「6時から24時までの最高気温(日中の最高気温と表現)」ということです。

 一日の最低気温、一日の最高気温ではありません。

 あさって以降の最低気温と最高気温は、一日の最低気温、一日の最高気温ですので、あす予報だけが違っているのです。

 多くの場合、10月23日(日)のように、最低気温は明け方に観測され、最高気温は日中に観測されますので、特に問題はありません(図3)。

図3 東京の気温変化(10月22~26日)
図3 東京の気温変化(10月22~26日)

 しかし、10月24日(月)のように、強い寒気が南下をしている時の予報では、実感と合わなくなります。

 東京の24日(月)の最高気温の予想15度というのは、気温が降下中の6時頃のもので、日中の最高気温ではありません。

 日中は最低気温と同じ11度位と、11月下旬並みの寒さになりそうです。

 25日(火)も最低気温が9度と冷え込み、日中も気温はあまりあがりませんが、26日(水)以降は、明け方に気温が一番低く、日中に気温が高くなるという、一般的な気温の日変化をし、平年並みの気温で推移しそうです(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(10月24~30日は気象庁、10月31日~11月8日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(10月24~30日は気象庁、10月31日~11月8日はウェザーマップの予報)

 強い寒気の南下ですが、真冬の頃と違い、その寒気の南下は長続きしません。

 これが、次第に長続きするようになり、本格的な冬を迎えます。

 現在は、ネットで調べれば、時系列で気温等が細かく予想されていますので、暖かい服装ででかけるなどの体調管理に、きめ細かい気象情報をお使いください。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供。

図3、図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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