シーズン到来!二本の牛蒡と白味噌餡を包んだ仙太郎さんの「花びら餅」はまるでお雑煮の和菓子?
和菓子屋さんの二十四節気の中にもクリスマスが取り入れられるようになり、サンタクロースやトナカイ、クリスマスツリー、リースなどを様々な技法で表現した愛らしい上生菓子も珍しいものではなくなりました。
とはいえ、クリスマスは年の瀬のイベント。その頃にはもうすでに、迎春の和菓子も店頭に姿を現し始めます。新春の和菓子やご挨拶用などの予約やまとめ買いの需要が高まる季節ですものね。
そんな中で、和菓子の中ではお正月には欠かすことのできない生菓子がちらほらとあちこちのお店で販売、もしくは予約が開始されました。かつては京都の新年を祝う席での宮中料理として食べられていた「歯固めの儀式」に用いられた菱葩に由来していたり、はたまた宮中で働いている人たちが紅白のお餅や人参を持ち帰り、お雑煮に仕立てて食べたことからなど諸説ありますが、現在の形が一般化したのは幕末~明治以降の裏千家のお茶席から広まっていたっとも言われています。
今回は京都の老舗「仙太郎」さんの「花びら餅」をご紹介。
綿雪のような澄んだ餅肌から覗く日本の牛蒡。こちらは宮中の歯固めの儀式に使用された鮎を模しているのだとか。お餅・牛蒡の蜜煮・人参の羊羹・白味噌餡…確かに全て、お雑煮の材料ですね。思わず笑みが。着色料は一切使用していないのに、おめでたい日本の色合い。
はむ、と優しい甘味の求肥が歯を包み込み、白小豆こし餡と京都の老舗の白味噌を合わせた塩気が心地良い…土の風味を残した牛蒡は、はっきりとした素材の味わいを残して。人参の羊羹も、仄かに青みのある人参の香りが漂います。
お菓子であるものの、素材の持ち味がストレートに、尚且つ調和するように仕上げられた素朴かつ上品な花びら餅でした。
梅の花の雲平が添えられているのもきゅんと胸がときめいて。
さつまいもやかぼちゃなどの甘い根菜類を使用した和菓子は多々ありますが、料理のイメージが強い牛蒡を大胆に使用した和菓子はこの季節だけのお楽しみ。
新春だけとはいわず、年の瀬からあちこちの花びら餅を食べ比べしてみるのもこの季節ならではのお楽しみかと。ふんわり柔らかな佇まいと共に、穏やかに新年を迎えませんか。
【仙太郎・本店】
公式サイト(外部リンク)
京都市下京区寺町通仏光寺上る中之町576
075-344-0700
8時~18時(時期によって変動あり)
定休日 元旦