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疾病利得と二次的報酬(仮病? 詐病?)

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


私のカウンセリングルームには、ときおり、「どこの病院に行っても、どこのカウンセリングルームに行っても、病気が良くならない」という訴えを抱えた人が、来室されることがあります。

私は、とことん話を聴きます。

そして、ふとこんな質問をすることがあります。
「病気が良くなったら、何をしたいですか?」

多くの方は、「はい、1日も早く良くなって、仕事に復帰したいです」とか、
「元気になったら、また昔のように友だちと遊びに行きたいです」とか言うものですが、
中には、一部、私の質問に対して、絶句される方がいます。

そう、「良くなったら、どうしたいか? ひとつも思い浮かばない」という人です。

良くなったらどうしたいか? ひとつも思い浮かばない人の中の一部には、
疾病利得および二次的褒章を得てらっしゃる方がいます。

「疾病利得および二次的報酬とは何か?」と言いますと、
病気になったことにより、得をすることを言います。

たとえば、病気になったことにより、
障害年金が貰えるようになり、親の援助と合わせて、働かなくたって食っていけるようになったとか、大人として社会人として、義務を果たさなくても許されるようになったとか、煩わしい人間関係から逃れられるようになったとか、周囲の人たちから、同情や慰めをもらえるようになったとか、そういうことです。

私は、「こんなに疾病利得や二次的報酬を得られているのであれば、そりゃ病気も治りたくない筈だわな」と思います。

病気を治したいのであれば、「病気を治したい」という気持を持つことが大切です。
そして、「病気が治ったら、〇〇がしたい」という気持を持つことが大切です。

私は、「ああ、ここの病院に行っても、そしてここのカウンセリングルームに行っても、私の病気は治らなかった」と、内心ほくそ笑んでいる人を幾人も見てきました。

病気が治りたいのなら、
どうそ一刻も早く、あなたが握って離さない疾病利得と二次的報酬を手放してください。
それが、本当に本当に大切です。

最後に、
病気が治らない人のことを、「この人は、病気が治りたくないんだ」と決めつけるのは、援助者として、もっとも戒めなければならないことです。そのことは強く強調して、この文章を終わりたいと思います。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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