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台風11号が過ぎるとともに、再びダブル熱帯低気圧が出現か

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風11号と熱帯低気圧の雲(ウェザーマップ)

台風11号は日本海を高速北上中

台風11号の予報円(ウェザーマップ)
台風11号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

けさ朝鮮半島の南端をかすめるように通過した台風11号は、きょう6日(火)午後3時現在、ジェット気流に乗るように、日本海を時速80キロの早い速度で北上しています。

引き続き、大型で強い勢力を維持しているため、赤い暴風域に入っている所はないものの、黄色い強風域に日本海側の広い範囲が入っており、最も影響が長引く北海道では、あす7日(水)朝まで暴風に警戒が必要です。

そして台風11号が去ろうとしている状況ですが、タイトル画像にある通り、すでに日本の南海上には新たな熱帯低気圧が発生しています。

ダブル熱帯低気圧が発生へ

天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)

気象庁の予想天気図によると、あさって8日(木)には小笠原の南にもう一つの熱帯低気圧が発生する予想で、すでに発生している熱帯低気圧と合わせて、ダブル熱帯低気圧の状態となりそうです。

ただこれらダブル熱帯低気圧の動向は、ダブル熱帯低気圧自身の相互作用や小笠原付近に東進してくる上空の寒冷渦などの影響もあり、非常に不確実性の大きなものとなっています。

諸外国の計算を含めて、本当にこれらの動きはバラバラで、週末にかけて、ダブル熱帯低気圧を北上させる計算もあるし、南の海上で相互作用してあまり動かない計算もあるし、どちらかの熱帯低気圧に吸収され片方の熱帯低気圧が発達する計算もあるし、相互作用した結果、どちらも消滅してしまうような計算もあるし、見事にバラバラの状態となっています。

ただ1つ言えることは、諸外国の計算に比べて、日本のモデルは週末にかけて、本州付近へ北上させる傾向があるということです。今後、日本のモデルのような北上傾向となるのか要注目です。

海水温は依然高い

海面水温の状況(気象庁発表に筆者加工あり)
海面水温の状況(気象庁発表に筆者加工あり)

台風11号が通過する前の8月28日(日)と、きのう9月5日(月)の海水温の違いをみてみました。

8月28日(日)は、日本の南海上の広範囲が30度以上あり、31度以上の海域も沖縄の東に広がっています。ところが台風11号の通り過ぎたきのう9月5日(月)は、台風が海水を長い間かき混ぜた結果、30度以上の海域は大きく減少しました。

とはいえ、まだダブル熱帯低気圧が発生する予想の海域は29度から30度くらいあるため、台風が発生、発達するには十分過ぎる海水温の高さです。

ダブル熱帯低気圧の動向は、非常に不確実性が大きいものの、台風へ発達する可能性も否定できないため、この高い海水温にも要注目です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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