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身体を膨らまして空を飛ぶ『星のカービィ』。その体にはスゴイ秘密が!?

渡辺晴陽作家・脚本家/エンタメアドバイザー

『星のカービィ』は1992年に第一作が発売され、昨年30周年を迎えた人気ゲームシリーズです。主役キャラクターである「カービィ」のピンク色をした丸くて可愛いフォルムは、ゲームファンでなくても一度は見たことがあるはずです。

いろいろな派生作品もありますが、メインとなるジャンルは横スクロール・アクション。ジャンプや攻撃を駆使して、罠や障害物を避けたり、敵を倒したりして進んでいくゲームです。

マリオ、魔界村、ロックマン、悪魔城ドラキュラ……
数えきれないほどの種類がある横スクロール・アクションゲームのなかで、カービィを特徴づけているのが、「吸い込み・コピー能力」と「ホバリングと呼ばれる飛行能力」でしょう。

落とし穴系の罠をほぼ無効化するホバリング

通常のアクションゲームは操作テクニックを駆使して落とし穴などを避ける必要がありますが、カービィは飛び続けることができるため、基本的に落とし穴に落ちない(操作次第では落ちることもある)と、それまでのアクションゲームにはあまりない仕様でした。

そんなホバリングを見ていて、ある疑問が!

カービィってどうやって飛んでるの?

ヘリウムガスを充填した風船のように、膨らんだ身体の内側に軽い気体をみたしているのでしょうか?
あるいは、気球のように身体の内側を過熱して、空気を膨張させているのでしょうか?

いずれにしても、ホバリング状態の身体の内側には空気より軽い気体が満たされていると考えられます。

ですが、これだければまだ飛べません。
カービィが空を飛ぶためには、もう一つ重要な条件があります。

それは、カービィの体重です。

どのくらい軽ければ、カービィは飛べるのか?

ホバリング中のカービィの重さが空気より軽ければ、カービィはふわふわと宙に浮かび上がるはずです。カービィの住むポップスターの大気や重力などの諸条件が地球と同じだと仮定してカービィの体重を計算してみます。

イメージ図
イメージ図

カービィは身長20cmほどとのこと、ホバリング時には1.5倍に膨らんでいると仮定して、直径30cm(半径15cm)の球体だと考えて計算してみます(円周率は3とした)。

カービィ(ホバリング時)の体積は、約13,500立方cmになります。
大気の構成が地球と同じなら、このときの空気の重さは約16.2g(温度によって変化)です。

カービィ内部の空気の重さはほぼ0gだと考えます。
ホバリング状態のカービィは何もしなければゆっくりと落ちていき、手で仰ぐことで空を飛んでいます。したがって、カービィの体重は16.2gより若干重い程度なのでしょう。

ここで、通常時のカービィの体積を考えます。
身長20cmなので、半径10cmの球体と考えて、体積は4000立方cmで、この重さが16.2gほどだとすると。カービィの身体は、1立法cm辺り、約0.004gの重さだと算出されます。

カービィの身体はエアロゲルでできている?

カービィの身体は気体や液体ではなく、どう見ても固体です。
1立法cm辺り0.004gという固体は自然界を探しても見つからないかもしれません。

ですが、エアロゲルなら実現可能な重さです。

※ イメージ
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エアロゲルとは、空気のゼリーのようなものです。ゼリーは水を固めた固体ですが、エアロゲルは空気を固めた固体だと考えれば何となく想像できると思います。

エアロゲルには脆さや曲げに弱いなどの欠点もありますが、シリコーンなど柔軟な素材をエアロゲル化させ、内部に少量の繊維などを混ぜこんで強化した構造なら、カービィのように滑らかな動きも可能になるかもしれません。
つまり、上記の条件を満たすとき、カービィの身体は繊維強化・ハイブリッド・エアロゲルでできていると考えられます。

未知の生態系をもつ惑星ポップスター

カービィの住んでいるポップスターでは自然界に繊維強化エアロゲルが存在していて、しかも、そのエアロゲルで身体を構成する生き物・カービィがいる・・・

ここまで考えてきた結果として、ポップスターはそんなとんでもない惑星かもしれないと判明しました。

もしそうなら、ポップスターの生態系はどのようになっているのか、とても気になりますね。
少なくとも地球とは全く違った自然環境がありそうです!

なお、記事にしなかったちょっとした追加情報(没ネタ)は、ツイッターでつぶやいています。興味がある方はどうぞ!

作家・脚本家/エンタメアドバイザー

国立理系大学院卒、元塾経営者、作家・脚本家・ライターとして活動中。エンタメ系ライターとしては、気に入ったエンタメ作品について気ままに発信している。理系の知識を生かしたストーリー分析や、考察コラムなども書いている。映画・アニメは新旧を問わず年間100本以上視聴し、漫画・小説も数多く読んでいる。好みはややニッチなものが多い。作家・脚本家としては、雑誌や書籍のミニストーリー、テレビのショートアニメや舞台脚本などを担当。2021年耳で読む本をつくろう「第1回 児童文学アワード」にて、審査員長特別賞受賞。

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