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どっちが勝者でもア・リーグ優勝は西地区。このパターンは史上初。ナ・リーグは4年連続の東西対決

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヒューストン・アストロズ/手前はライアン・プレスリー Oct 11, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今年のア・リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ(ALCS)は、テキサス・レンジャーズヒューストン・アストロズが顔を合わせる。そこで4勝を挙げたほうが、ア・リーグの優勝チームとしてワールドシリーズへ進む。

 レンジャーズとアストロズは、両チームともア・リーグ西地区だ。このマッチアップ(組み合わせ)のALCS――どちらが勝者でも、ワールドシリーズ進出は西地区のチーム――は、これまでに一度もなかった。

 地区による、ALCSのマッチアップには「東地区-東地区」「中地区-中地区」「西地区-西地区」「東地区-中地区」「東地区-西地区」「中地区-西地区」の6パターンが存在する。ナ・リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ(NLCS)も同様だ。2地区から3地区となり、ワイルドカードができたことで、同地区のマッチアップが起きる可能性が出てきた。

 今年のALCSは、ポストシーズンが始まる前から「中地区-中地区」の可能性はなかった。ワイルドカードは、東地区のタンパベイ・レイズトロント・ブルージェイズに、西地区のレンジャーズがゲットした。中地区からポストシーズンに進んだのは、地区優勝のミネソタ・ツインズだけだった。

 過去にも、「中地区-中地区」のALCSは起きていない。1995~2022年のマッチアップは、「東地区-西地区」が10度、「東地区-中地区」が8度、「東地区-東地区」と「中地区-西地区」が5度ずつだ。

 東地区のチームを含まないALCSは少なく、今年が6度目となる。2017年から昨年までは、「東地区-西地区」が6年続いていた。正確に言うと「東地区-アストロズ」だ。

 一方、NLCSのマッチアップは、ALCSほど偏っていない。「東地区-西地区」が8度、「東地区-中地区」と「中地区-西地区」が7度ずつに、「中地区-中地区」が3度、「東地区-東地区」が2度、「西地区-西地区」は1度となっている。

 ただ、2020年以降は、「東地区-西地区」が続いている。

 今年のNLCSも、ポストシーズンが始まる時点で、一方が東地区となることは決まっていた。ワイルドカード・シリーズで東地区のマイアミ・マーリンズと東地区のフィラデルフィア・フィリーズが当たり、その勝者がディビジョン・シリーズで東地区のアトランタ・ブレーブスと対戦。どこが勝ち上がっても、東地区のチームであることに変わりはない。

 さらに、ワイルドカード・シリーズが終わった時点で、4年連続の「東地区-西地区」も確定した。別のワイルドカード・シリーズで、西地区のアリゾナ・ダイヤモンドバックスが中地区のミルウォーキー・ブルワーズをスウィープし、ディビジョン・シリーズで西地区のロサンゼルス・ドジャースと相まみえることになった。

 現在、東地区の2チームによるディビジョン・シリーズは、フィリーズが2勝、ブレーブスは1勝だ。西地区のほうは、ダイヤモンドバックスがドジャースをスウィープで倒した。

 なお、レンジャーズについては、こちらでも過去のデータを紐解いた。

「レンジャーズのワールドシリーズ進出は決まり!? チームも監督もその直前のシリーズで敗退は一度もなし」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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