秋の夜はアコースティック・ブルースで。ジョー・マクマリアンが初の日本公演
秋の夜、ブルースに浸る喜び。ジョー・マクマリアンのサウンドは素朴でシンプルながら、聴く者の心を暖かくしてくれる。
100年以上前、ミシシッピのデルタ(三角州で生まれたといわれるブルース。ジャズやロックの礎となったこの音楽スタイルは現代まで受け継がれ、B.B.キングやバディ・ガイなどの黒人ブルースメンが今日でも活躍。また、エリック・クラプトンやジャック・ホワイトらエレクトリック・ギタリストもブルースからの影響を色濃く窺わせる演奏を聴かせている。
だが源流を辿ると、ブルースは元来電気のないところで演奏される、アコースティックな音楽だった。そんなアコースティック・フォーク・ブルースの伝統を伝えつつ、21世紀ならではの生命観を加えたのが、ジョー・マクマリアンの音楽だ。
1968年、カリフォルニア州コンコードに生まれたジョー。少年時代にブルースに目覚めた彼はさまざまなブルースのレコードを聴き漁り、また自らアメリカ南部を旅することで、ブルースやフォーク、カントリーなどのルーツ・ミュージックを肌で感じ取ってきた。
そんな経験を経て、彼は2001年にアルバム『Under The Sun』を発表。単に伝統的なブルース音楽を再現するだけでなく、ボブ・ディランやトム・ウェイツを思わせるいがらっぽいヴォーカル、そして個性豊かなソングライティングによって注目されている。また、6弦、12弦、バンジョー、ドブロなどを弾きこなすギター・スタイルも高く評価されてきた。
それから彼は活動拠点をオレゴン州ポートランドに移しながら、全米をツアーしてきたが2014年11月、遂に初めて日本のステージに立つことになったのである。
今回の初来日公演は、2枚のアルバムが同時日本発売されたのに伴うものだ。
最新スタジオ・アルバム『オールド・ブラッド』はカントリー・ブルースに乗せて、彼のシンガー・ソングライターとしての魅力をクローズアップした作品だ。レコーディングにはヴィンテージなマイクや機材を使用するなど、サウンドにもこだわった本作だが、古くさく感じさせないのは、歌い、ギターを奏でるジョーが“いま”を生きるアーティストとしての表現を貫いているからだろう。
一方の『ライヴ・アット・ジ・アズテック・シアター』は彼のステージ・パフォーマンスをあますところなく収めたアルバムだ。ロバート・ジョンソン、ブラインド・ウィリー・マクテル、カーター・ファミリーなどの古典のカヴァーも演奏されているが、いずれもジョーならではの個性が込められており、コンテンポラリーなテイストで魅せてくれる。
その表現の豊かさもさながら、ジョーの音楽は、聴く人ごとに異なった色彩を放つものだ。コアなブルース・ファンにとっては、ド渋のカントリー・ブルースにも聞こえるだろうし、よりライトな層にとっては、一種のカフェ・ミュージックとすら感じられるだろう。
今回のジャパン・ツアーは生涯「ジョー・マクマリアン?ああ、初来日を見たよ!」と心のメモリアルに刻まれる、特別なエクスペリエンスとなるに違いない。
【Joe McMurrian (ジョー・マクマリアン)Japan Tour 2014】
10月31日(金)鎌倉 Cafe GOATEE
11月1日(土)東京 ROOSTER
11月2日(日)名古屋 LaidBack (O.A. 吉村瞳)
11月3日(月)大阪 PO' BOY RECORDS (V.S. AZUMI)
11月4日(火)茨木 D bar (O.A. シュトウケンイチ)
11月5日(水)大阪 ROCKETS (v.s. 三井ぱんと大村はん、ゴーゴー木村)
詳細はBSMF Recordsまで。