「牛乳を食べよう!」水の代わりに牛乳でご飯も炊けるし肉じゃがも 新型コロナで捨てられる牛乳を救おう
2020年4月21日、農林水産省が「プラスワンプロジェクト」を開始した。酪農家を支えるため、牛乳やヨーグルトを普段より1本多く消費することを推進するのが目的だ。毎年4月から5月にかけて、生乳の生産ピークがやってくるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を防ぐため、飲食店が軒並み休業し、学校給食も中止されているところが多いためだ。
米国でも、飲食店の店内営業休業に伴い、新鮮な牛乳を捨てざるを得ないような状況が発生している。
「牛乳を食べよう!」
筆者は、2011年秋まで勤めていた食品メーカー時代、女子中学生・高校生を対象に、「もっと牛乳を摂ろう」と呼びかけるための講演を依頼されていた。学生たちに聞いてみると、高温殺菌された牛乳のにおいが気になり、飲むことに抵抗を示す場合もあった。
そこで筆者は、牛乳を「飲もう」ではなく、「食べよう!」と呼びかけた。牛乳を使ったレシピはたくさんある。2010年当時、使っていたパワーポイントは下のような感じ。出典として示している「日本酪農乳業協会」は、現在の一般社団法人J-ミルクである。
ここで示したように、クリームシチューやクリームグラタン、ミルクリゾット、おこわや炊き込みご飯、ドリア、カレー、シリアル&ミルクなど、食事として提供できるものもあるし、ミルクゼリーやバナナブレッド、ロールケーキなど、おやつとして食べられるものもある。
牛との触れ合いと「牛からいただいている」食育授業で給食牛乳の残さが激減
筆者の知り合いの学校栄養士は、給食で牛乳の残さがとても多いことに悩んでいた。そこで、東京都内の小学校に牛を一頭連れてきて、ペットボトル200本に赤い絵具を溶いた水を入れ、子どもたちに搾乳をさせた。「この牛の血液400リットルから、牛乳をいただいているんだよ」と伝えたところ、牛乳の飲み残しが激減した。
一番人気は「牛乳もち」
J-ミルクの公式サイトには牛乳を使ったレシピが写真入りで掲載されている。今、最もアクセス数の高いのは牛乳もちだ。牛乳を、片栗粉や砂糖と一緒に煮て冷やし固めたもので、もちもちっとした食感が子どもたちに人気なのだろう。牛乳と片栗粉と砂糖なら、多くの家庭にある手持ちの材料で作ることができる。
水の代わりに牛乳を使ってご飯が炊ける
普段、ご飯を炊くときにはお水を使うが、水の代わりに牛乳を使って炊くこともできる。J-ミルクのレシピページには土鍋炊き きのこごはんが載っている。筆者は高校時代、ご飯を牛乳で炊くレシピのコンテストに応募し、エプロンの賞品をもらったことがあった。ちりめんじゃこや大根の葉っぱなどを一緒に炊き込んで作るもので、毎晩、配合を試していた。
においが気になるような先入観があるが、予想に反して、全く気にならない。牛乳に含まれるビタミンB群は、加熱によって減少するが、牛乳に含まれているカルシウムを摂ることができる。
J-ミルクのミルクレシピページで2番目にアクセスが多いのは、水の代わりに牛乳で煮込む肉じゃがだ。3番目が牛乳仕立てのチーズフォンデュ。どれも美味しそう。
冷蔵庫を使わずに作る自家製アイスクリーム
冷蔵庫や冷凍庫で冷やすことなく、自家製のアイスクリームを作ることもできる。お子さんの休暇中にいかがだろうか。
冷蔵庫を使わないでアイスクリームを作ることができる?子どもの夏休みの自由研究にぴったり、しかも省エネ
家でヨーグルトも簡単に作ることができる
牛乳とヨーグルト(あるいはヨーグルトの種菌)があれば、家でヨーグルトを作ることができる。筆者も3月から定期的に作っている(写真左、右は豆苗)。最初はヨーグルトの種菌を買ってきて作り、その後は、家で作ったヨーグルトを種菌にして、市販の低温殺菌牛乳で作っている。
4ヶ月の牛乳摂取により体脂肪が摂取前と比べて有意に減少
食品で効果効能を謳うことはできないが(薬機法、旧薬事法)、4ヶ月の牛乳摂取により、体脂肪が、摂取前と比較して統計的に有意に減少したというデータもある。女子栄養大学の上西一弘教授のデータを、筆者も、中学生などへの講演で紹介していた。なぜなら、女子中学生や女子高校生は、牛乳=太ると誤解していて飲まない傾向があったからだ。筆者が女子中学生や高校生に向けての講演に呼ばれたのも、背景には、校長先生や先生方のそんな悩みがあった。
牛乳に含まれるビタミンB群は、エネルギー代謝の役割を持っている。
牛乳を毎日の食生活に自然に取り入れたい
牛乳は、学校給食のような、食事にプラス1本というイメージがある。昔なら牛乳びん、今は紙パック。
でも、牛乳は、食事そのものの中に自然に入れ込むことができる。だから、牛乳アレルギーのない人には、「飲む」だけでなく、牛乳を「食べる」ことも積極的に進めたい。それが、消費を増やし、新鮮な牛乳を捨てないで済むことにつながる。