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ウクライナ・小回りが利き俊敏な「地上地雷ドローン」開発:ロシア軍の戦車の下に入り込み爆発も

佐藤仁学術研究員・著述家
「地上地雷ドローン」(ロイター提供)

2023年7月にウクライナのエンジニアがリモートで動くラジコンカーのような手作りの車に地雷を搭載した「地上地雷ドローン」を開発した。22歳のエンジニアが開発した「地上地雷ドローン」の試験走行をする様子をロイターが報じて英国のメディアThe Sunが動画を公開していた。

「地上地雷ドローン」は人間の兵士がラジコンカーの上に地雷を搭載して紐(ひも)で括り付けるだけで、遠隔操作しながら敵軍の陣地に突っ込んでいったり、戦車の下に入り込んでいき爆発する仕組みだ。標的に突っ込んでいき爆発するタイプの攻撃ドローンを「神風ドローン」と称されており、毎日のようにロシア軍もウクライナ軍も上空から「神風ドローン」で攻撃を行っている。今回の「地上地雷ドローン」も神風タイプである。

地上に埋められている対人地雷は、人間の兵士や一般市民が踏んでしまったり触ってしまうと爆発する。この「地上地雷ドローン」は人間の兵士が操縦して敵軍の陣地に突っ込んでいき兵士のいる塹壕や軍事施設などにぶつかって爆発する。神風ドローンや「地上地雷ドローン」は標的に突っ込んでいき爆発するので、1回使用したら破壊してしまうので再利用できない。

今回報じられていたような「地上地雷ドローン」はロシア軍もウクライナ軍も既に似たような兵器は開発しており最前線に投入している。「地上地雷ドローン」は小さいので茂みの中でも小回りも利くし、俊敏に動いている。動画の中でエンジニアは「ロシア軍が地上地雷ドローンに気が付いてもライフル銃などで撃破するのは難しいでしょう」とコメントしている。また「ロシア軍の戦車の下に入り込んでいき爆発すれば、かなりの破壊力です」と語っていた。

「地上地雷ドローン」は地雷を搭載しているが、地雷の代わりに無人地上車両として人間の兵士が入れないような場所への物資の輸送などもできる。

▼ウクライナのエンジニアが開発した「地上地雷ドローン」

「地上地雷ドローン」とエンジニア(ロイター提供)
「地上地雷ドローン」とエンジニア(ロイター提供)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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