エウロパの地下海に地球の海と同程度の酸素が!?生命存在可能性が更に高まる
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「エウロパの地下の海には酸素があるかも」というテーマで動画をお送りしていきます。
地球以外に生命は存在するのでしょうか?
これは研究者でなくても多くの人が興味を持っていることです。
太陽系内では隣の惑星である火星が真っ先に調査の対象となり、何度も探査機が送り込まれています。
火星以外にも、生命が存在する可能性がある天体があります。
それが木星の衛星エウロパです。
エウロパは木星の第二衛星です。ガリレオ・ガリレイによって1610年1月に発見された4つの衛星(ガリレオ衛星)の中で、内側から2番目の軌道を公転しています。
●エウロパに生命の存在が期待される理由
エウロパは太陽系内の惑星や衛星の中でも、比較的生命が存在している可能性が高いといわれています。
生命が存在するための最も重要な条件は液体の水の存在です。
少なくとも、私たちがよく知っている地球の生命にとっては液体の水は必要不可欠です。
そのため、液体の水があることが生命を宿す星を探す目安になります。
エウロパの表面は氷に覆われていますが、その下には広大な液体の水の海が存在していると考えられています。
太陽から遠く離れた木星の衛星エウロパの地下で、液体の水が存在できる理由は、木星からの重力にあります。
エウロパの木星に近い部分と遠い部分では、木星からの重力に違いがあります。
木星に近い方は重力が強く、遠い方は弱くなります。
そのため、木星の方向に引き伸ばされるような力が働きます。これが「潮汐力」です。
また、エウロパの公転軌道は木星に近い場所と遠い場所があるため、潮汐力は周期的に変化します。
このため、エウロパは常に振動します。この振動がエウロパ内部に十分な熱を生み出し、その地熱によってエウロパ表面の氷の下に液体の海ができている可能性があるのです。
実際にエウロパに海がある証拠の一つとして、木星磁場の変化が挙げられます。
木星付近には強力な磁場があるのですが、エウロパが通過したときにこの磁場が顕著な変化を示したのです。
自然界にある水は不純物をイオンとして含んでいるため、電気を通します。
磁場の中に水を通すと水の中を電流が流れます。
こうして発生した電流によって新たに磁場が生まれるため、元の磁場が変化します。
このようなことから、エウロパの地下には液体の水の海が存在する可能性が高いと判断されています。
また、エウロパ表面にクレーターが少ないことも液体の海の存在を示唆しています。
クレータの痕跡がないということは、エウロパ表面の氷の下で液体の水が対流していて、その運動によって表面のクレーターを消し去っていると考えられます。
私たちが住む地球にもクレータがほとんどありません。
地球では大陸が乗っているプレートが生まれ、海溝で地球内部に沈み込んでいます。
この「プレートテクトニクス」という運動によってクレーターが消えているのです。
この運動の動力源は地球のマントルの対流ですが、エウロパ表面の氷も地球のプレートと同じような動きをしているのかもしれません。
また、木星の重力によってもたらされたエウロパ内部の熱エネルギーは、火山活動も引き起こします。
そこから海底の火山活動によって熱せられた水が噴出する小さな割れ目「熱水噴出口」ができることがあります。
地球最初の生命はこの熱水噴出口で誕生したと言われています。
エウロパの海底にも熱水噴出口があれば、そこで微生物が育まれている可能性があります。
●エウロパに酸素がある可能性
生物は化学反応によって自らの体をつくり、活動のためのエネルギーを得ています。
生化学的な反応に関係する主要な元素は炭素、水素、酸素、硫黄、リンなどです。
生命がエネルギーを得るための化学反応で重要な役割を果たすのが酸素です。
酸素は他の物質との反応性が非常に高く、それによって大きなエネルギーを生み出します。
私たち人間も酸素を呼吸し、体内で酸素によって糖を燃焼させることでエネルギー代謝を行っています。
酸素の高い反応性は、細胞のDNAの構造を破壊するなど生物にとって「毒」となる危険があります。
しかし、うまく使いこなすことができればより大きく複雑な生物に進化することができます。
テキサス大学オースティン校が率いる研究チームは、エウロパの氷に覆われた液体の海に地球の海と同程度の酸素が含まれている可能性があると報告しています。
まず、エウロパ表面には酸素が存在しています。
木星の強力な磁場は太陽からの高エネルギーの荷電粒子を捕らえ、放射線帯を形成しています。
エウロパはその放射線帯の中を公転しているのです。
放射線がエウロパの表面に降り注ぐと、氷から蒸発した水分子が酸素と水素に分解されます。
水素は軽いので宇宙に出ていきますが、酸素は水素の16倍の重さがあるので表面付近に留まります。
ではこの表面にある酸素が地下の海に供給される機構は存在するのでしょうか?
エウロパの表面は基本的に滑らかですが、一部に「カオス地形」と呼ばれる、ざらざらとした荒れている場所があります。
研究チームによると、このカオス地形が地下海への酸素供給の現場となっているようです。
カオス地形はエウロパ内部の地熱による活動で、氷山ブロックが移動したり、回転したり、傾斜したりした地形です。
そこでは熱により氷が部分的に融けています。
カオス地形が形成される際に、融けた水は地表に存在する酸素を取り込みます。
酸素が溶け込んだ水は、周囲の水より重いので下に沈んでいきます。
こうして海底まで酸素が届けられるのです。
この機構によって地下海に送られる酸素量について現時点では推定値の幅が非常に広くなっています。
仮に推定値の中で最も効率よく酸素が輸送されるのであれば、エウロパの地下海は地球の海と同程度の酸素を持つことになります!
2024年にはNASAがエウロパ探査機「エウロパ・クリッパー」の打ち上げを予定しています。
このミッションによって生物の生息可能性についてより詳細な調査結果が得られるかもしれません。