奈良市最古の老舗和菓子屋・千代乃舎竹村さんの「野守の鏡」白味噌の優雅な旨味漂う愛らしい最中です
いよいよ秋めいてきて、寒暖差がはっきりとしてきた今日この頃。空も高く、心地よく長袖に腕を通せる日がやってきましたね。そんな10月初旬から中旬にかけて旅行会社や雑誌が特集しはじめるのが、全国各地の紅葉。野山の雄大な景色も素敵ですが、歴史情緒豊かな景観も魅力。
奈良県の中心地にお店を構える「御菓子司 千代乃舎竹村」さんは、1701年からこの地で時を紡いできた和菓子屋さん。なんと奈良県最古の和菓子屋さんです!
四季折々の色彩を上品に取り入れた主菓子をはじめ、贈答品にも相応しい格式漂うお菓子、更には若い方も気軽に暖簾をくぐれるようなパフェなどの和スイーツも取り揃え、老舗やその歴史に甘んじることなく、時代に寄り添い沢山の人たちが美味しいと頬をほころばせるようなラインナップ。今回は千代乃舎竹村さんにて長年作られている銘菓「野守の鏡」をご紹介。
菓銘の由来は、かつて雄略天皇が春日野にて鷹狩りをしていた際に見失ってしまった鷹を、野の番人である野守が春日野鷺沢の水面に映っているのを発見し献上したことから。
紅白共に、ふわふわの麩焼きの最中です。ねちっとしているわけでもなく、パリンとしているわけでもなく。そのまま側面を見るとわかりづらいのですが、断面を見ると空気の部屋ひとつひとつが大きめなのです。
中餡は白餡に白味噌を加えた、まったりとした飴色の味噌餡。ほんのりとした塩気と麹特有のふくよかでまろやかな旨味が、隠元豆のすっきりとした甘味に奥行をプラス。どこか懐かしい味わいです。水飴入りの餡のねっとりと瑞々しさを湛えているところも、口の中でまとまりやすく食べ心地の良い理由かもしれません。
歴史ある老舗の御菓子、というと固い印象ですが、実は素朴でほっとするようなお菓子も沢山。お土産を購入するついでに、ひとつ自分のおやつに…と手に取ってみたら、新しいお気に入りになるかもしれませんね。
興福寺や東大寺など、錚々たる寺社からの信頼も厚く、尚且つ地元の方のご挨拶のお品物や観光客の方からも人気のお店。これから迎える春日山の紅葉シーズンは、目で楽しんだ後に舌で奈良の歴史を満喫してみてはいかがでしょうか。