立秋からの殺人的な暑さは処暑から並みの暑さへ、熱中症は引き続き警戒
令和2年(2020年)の殺人的な猛暑
令和2年の日本列島は、立秋(8月7日)頃から太平洋高気圧に覆われ、ほぼ殺人的な猛暑が続いています。
8月21日も、全国で気温を観測している921地点のうち、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが730地点(79パーセント)、最高気温が30度以上の真夏日を観測したのが659地点(72パーセント)、最高気温が35度以上の猛暑日を観測したのが249地点(27パーセント)となっています(図1)。
8月14日以降は、5日連続で全国の約22パーセントにあたる200地点以上で猛暑日となり、気象庁が全国の猛暑日地点をまとめた平成24年(2012年)以降、最長となっています。
そして、19日は197地点と200という数字を切ったものの、20日、21日は、再び200地点を超えています。
ただ、気温が高いところが多いといっても、日本列島を覆っていた太平洋高気圧は衰弱して後退しはじめています。
津軽海峡には秋雨前線が出現し、秋雨前線より北に位置する北海道は秋の気配です(図2)。
東京の16日先までの気温予報
気象庁と環境省は8月6日夕方に、東京都、千葉県、茨城県に「熱中症警戒アラート」を発表しています。
これが、「熱中症警戒アラート」の初めての発表です。
その後も、湿度が高くて高温の、熱中症が起きやすい状況が続いたため、連日「熱中症警戒アラート」を発表されており、8月22日に対しては、東京都に対しての発表となっています(表)。
ただ、「熱中症警戒アラート」は、令和3年度(2021年度)から全国展開を予定していますが、現時点では、関東甲信地方だけを対象として発表する情報です。
関東甲信以外でも、熱中症警戒アラートを発表して警戒すべき地方が多数ありましたし、今後もあります。
東京の16日先までの気温予報をみると、立秋以降続いていた殺人的な暑さの最高気温は、23日の処暑に平年値位まで下がります。
暦通り、暑さが収まるとされる処暑になります。
処暑以降は、最高気温・最低気温が平年より高い日が続きますが、平年値を大きく上回っていません(図3)。
処暑以降、殺人的な暑さが平年並みの暑さになるということもできるでしょう。
西日本を中心とした暑さ
ウェザーマップによる最高気温の10日間予報によると、北日本以外では、連日、最高気温が30度以上の真夏日が続く予報です(図4)。
特に、西日本では、最高気温が35度以上の猛暑日が続く予報ですので、来週は西日本を中心とした暑さです。
とはいえ、猛暑日の基準となる35度を少し上回る暑さですので、40度近い気温が続いていた立秋以後の殺人的な暑さからみれば、暑さが少し緩和(処)しています。
最低気温が25度以上という熱帯夜は、西日本・沖縄では継続しますが、東日本でも熱帯夜が途切れ始めます(図5)。
北日本に加え、東日本でも早朝は秋の気配となり始めています。
高齢者が特に危険な熱中症
熱中症は、高温多湿な空気の中で起きる、めまい、失神、頭痛、吐き気、体温上昇、異常な発汗(または汗が出なくなる)等の症状で、死に至ることもあります。
熱中症では最高気温が注目されますが、湿度も重要な要素です。同じ気温でも湿度が高いときには熱中症にかかりやすくなります。
ハワイを訪れた方は感じると思いますが、気温的には高くても、ハワイが過ごしやすい環境なのは、湿度が低いためです。
熱中症発生率は、気温が高くなるにつれ上昇し、猛暑日には65才以上の高齢者で特に高くなるといわれています(図6)。
気象庁が発表する情報の気温は、「風通しのよい、日射や地面からの照り返しによる熱を受けていない場所」での気温です。
風通しが悪い場所や、地面や建物から熱を受けている場所では、気象庁が発表する情報の気温より高い温度になることを考えて警戒する必要があります。
気温や湿度が高い夏は、体力が落ちがちになることに加え、細菌の繁殖が盛んになるので食中毒が多く発生します。
今夏は、新型コロナ対策がクローズアップされていますが、例年の夏のように、熱中症対策と食中毒対策も必要です。
タイトル画像、図1、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図6の出典:饒村曜(平成26年(2014年))、天気と気象100-一生付き合う自然現象を本格解説―、オーム社。
表の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。