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ダメージの大きい「ノーヒッターの途切れかた」。捕球の確率は99%だったが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
マウリシオ・デュバン(左)とハンター・ペンス Aug 8, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月8日、ジョーニー・クエイト(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は、初回からヒットを打たれることなく、6回裏のマウンドへ上がった。それまで、与四球による1人しか、出塁させていなかった。

 そして、このイニングの先頭打者も、レフトフライに討ち取った……と思いきや、レフトのハンター・ペンスが打球を見失った。ボールは、ペンスの約6m後方にポトリと落ちた。これまで、ペンスは1000試合以上でライトを守ってきたが、レフトとセンターはどちらも100試合に満たない。とはいえ、スタットキャストによると、捕球の確率は99%の打球だった。

 センターから走ってきたマイク・ヤストレムスキが、ボールを拾って送球したものの、打ったキーケー・ヘルナンデス(ロサンゼルス・ドジャース)は、滑り込むことなく三塁に達した。記録は三塁打。クエイトのノーヒッターは、ここで途切れた。

 次の打者の遊撃ゴロでキーケーが生還し、完封も消滅。そこから、四球、三塁フライ、四球を経て、クエイトはジャスティン・ターナーにホームランを打たれ、マウンドを降りた。5.2イニングで4失点、自責点も4。ノーヒッターや完封どころか、クオリティ・スタートも記録できなかった。

 ただ、降板した時点でジャイアンツは5対4とリードしていて、その後は両チームとも得点がなかった。クエイトは、今シーズン初の白星を手にした。

 また、今から7年前の7月13日、当時もジャイアンツでプレーしていたペンスは、8回裏の2死からライトへ飛んできたライナーをダイビング・キャッチし、ティム・リンスカムのノーヒッターを継続させた。リンスカムは9回裏を完璧に抑え、キャリア初のノーヒッターを達成した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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