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史上初マイノリティー(少数民族)監督同士の対決となった大リーグワールドシリーズ。

一村順子フリーランス・スポーツライター
23日、ボストン・フェンウェイパーク。試合前は雨が降った。(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ア・リーグの覇者レッドソックスと、ナ・リーグの覇者ドジャーズが激突する114回ワールドシリーズ(WS)は、きょう22日(日本時間23日)にレッドソックスの本拠地、フェンウェイパークで開幕。プエルトリコ出身のレ軍コーラ監督と、沖縄県生まれの日系アメリカ人のド軍ロバーツ監督という、WS史上初のマイノリティー(少数民族)監督同士の対決となった。

 近代大リーグでは1947年にジャッキー・ロビンソン(ドジャーズ)が初めてアフリカ系米国人として大リーグの扉を開き、1969年にはプレストン・ゴメス(パドレス)が初めてラテン系アメリカ人としてプレー。以後、多国籍化した大リーグは、現在、ラテンアメリカ、アジアなどから才能ある多くの選手が海を越えて活躍している。監督としては、1974年にフランク・ロビンソン(インディアンス)が初めてアフリカ系アメリカ人として監督に就任。アフリカ系アメリカ人のシト・ガストンが率いたブルージェイズが、92、93年にWS連覇。ベネズエラ出身のオジー・ギーエンが05年にホワイトソックスを世界一に導いた。

 大リーグは、1999年に当時のバド・セリグコミッショナーが、雇用機会の均等を図るため、GMや監督など球団首脳トップの採用面接をする場合は、必ずマイノリティーを候補者に含めるルールを設定。21世紀に入ってからは、女性のフロント入りや、スタッフでの雇用拡大を目指してルート拡大のプログラムや奨学制度もつくられている。

 監督就任以来、ハリケーン・マリアの被害を受けた母国プエルトリコの支援を継続してきたコーラ監督は「10月に入って、母国から沢山の反応を耳にして、嬉しく思っている。プエルトリコだけでなく、カリブ海諸国全体のために、ここ(WS)まで来ることができたことを誇りに思っているし、故郷の人々に喜んでもらえて幸せに思う」と、母国の誇りを胸に、世界一の舞台で指揮を執る。

 日本人とアフリカ系アメリカ人のハーフであるロバーツ監督は、「マイノリティーにも能力のある人材は沢山いる。そういう人材が要職に就く機会は、たとえ、時間を要してはいても、確実に増えてきたと思う。私は雇用する立場ではないが、少数民族が機会を与えられることは喜ばしい。フィールドを見渡して、マイノリティーの顔をベンチでみつけるのは、エキサイティングなことだ」と、マイノリティーの進出を歓迎した。

 23日に発表された両軍の出場登録選手50人には、14カ国(自治領を含む)の外国籍選手が名前を連ねた。 

フリーランス・スポーツライター

89年産經新聞社入社。サンケイスポーツ運動部に所属。五輪種目、テニス、ラグビーなど一般スポーツを担当後、96年から大リーグ、プロ野球を担当する。日本人大リーガーや阪神、オリックスなどを取材。2001年から拠点を米国に移し、05年フリーランスに転向。ボストン近郊在住。メジャーリーグの現場から、徒然なるままにホットな話題をお届けします。

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