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減量は心配ない?懸念されるネリの体重超過のリスクは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
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5月6日東京ドームでボクシング4団体統一戦が行われ、王者の井上尚弥(31=大橋)と、元世界2階級制覇王者で現WBC世界スーパーバンタム級1位のルイス・ネリ(29=メキシコ)が対戦する。

ネリ来日

21日、ネリが東京・羽田空港に来日した。試合の2週間前とずいぶん早い日本入りだ。海外からのボクサーは通常1週間前から10日前に来日する選手が多い。

しかし、今回の試合では5回の計量など、異例のルールが敷かれている。時差と気候に体を慣らすためにも早めの来日は得策と言えるだろう。

23日に行われた公開練習では、シャドーやミット打ちなど披露した。

嵐のような連打や多彩なパンチは、近距離戦で抜群の威力を発揮する。また、独特なスピードの緩急による、タイミングのずれも警戒したいとこだ。

練習後、ネリは「井上とは4年前から戦いたくて、ずっとこのチャンスを待っていた。何ラウンドになるか分からないがKOする」と宣言した。

3月に行われた会見では物静かな印象だったが、試合が近づくにつれ本来の強気なネリが表れてきている。

メキシコでのハードなトレーニングをこなしたことで、気合いも自信も十分だろう。

過去の失敗

今回の試合で懸念されるのはネリの体重だ。過去、減量の失敗によりトラブルを起こしている。

記憶に新しいのは2018年、元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏との試合。前日計量で1.36キロの超過により、タイトルを剥奪された。

2019年にも、現IBF世界バンタム級王者エマヌエル・ロドリゲスとの対戦の前日計量で、体重超過し試合が中止となった。

現在の階級に上げてから減量の失敗はないが、それでも再び計量失敗のリスクはある。

もしネリが計量オーバーした際は、前座に出場するTJ・ドヘニー(アイルランド)が挑戦者になる予定だ。

ネリも試合に出場できないリスクがあれば、何としてでも調整してくるだろう。

減量について「前回よりもずっといい。今回は暖かいので体重を落とすのに役立つ気候だ」とコメントした。SNSでも下記のように投稿している。

試合10日前でスーパーバンタム級のリミットまで残り約2キロほど、汗をかけば無理なく落とせる範囲だ。

試合1週間前にも計量が行われ、56.6キロを記録した。リミットの55.3キロまであと1.3キロまで落ちている。ここまで来れば、体重超過のリスクは限りなく低いだろう。

井上のコンディション

公開練習でキレのある動きを見せてくれた井上。シャドーやサンドバッグ打ちを見る限り、コンディションは万全のようだ。

ネリの印象については「打たれ強さもあるし、荒々しい動きの中でのディフェンスだったり、細かい上手さを持っている」と警戒感を示した。

サウスポーへの警戒もあるが、対戦した4試合の全てでKO勝利しているため、問題はないだろう。

また「初回と2ラウンド目の出だしが大事。察知すれば、結果は早いかもしれない」と、余裕の勝利宣言も飛び出した。

今回の興行では、井上以外にもWBA世界バンタム級王者の井上拓真、WBA世界フライ級王者3位の桑原拓、元K-1王者の武居由樹と、大橋ジムの所属選手が勢ぞろいしている。

井上は「大橋ジム30周年で、東京ドームでの興行は感慨深い。必ず成功させなければいけない。大橋ジムの4選手が全員勝利して、最高の結果で締めたい」と話している。

日本人初となる東京ドームでのメインイベントで、ジムメイトと臨む試合、勝利へのモチベーションも十分だろう。

この調子を維持したまま試合に臨んでほしい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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