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新人王の受賞者と2位は、MVP投票で19位タイと9位。彼らの順位が「逆転」しているのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)Aug 28, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2024年のナ・リーグ新人王は、ポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)が受賞した。136ポイントを集め、2位のジャクソン・メリル(サンディエゴ・パドレス)に32ポイント差をつけた。彼らに次ぐ3位と4位は、26ポイントのジャクソン・チューリオ(ミルウォーキー・ブルワーズ)と4ポイントの今永昇太(シカゴ・カブス)だ。

 この4人の他に、ナ・リーグの新人王投票で票を得た選手は、いなかった。1位票は、スキーンズが23とメリルが7。2位票は、スキーンズが7とメリルが23。3位票は、チューリオが26と今永が4だ。

 スキーンズ、メリル、チューリオの3人は、MVPの投票においても、票を得ている。こちらの順位は、スキーンズが19位タイ(3ポイント)、メリルが9位(57ポイント)、チューリオは22位タイ(1ポイント)だ。新人王投票でスキーンズの後塵を拝したメリルが、MVP投票ではスキーンズより上位に位置した。

 両賞の投票者のうち、共通しているのは1人だけだ。けれども、スキーンズとメリルの順位の「逆転」は、投票者の違いではなく、ポジションが理由だと思われる。

 スキーンズは、先発23登板で133.0イニングを投げ、奪三振率11.50と与四球率2.17、防御率1.96。メリルは、センターを守り、156試合で打率.292と出塁率.326、24本塁打と16盗塁、OPS.826を記録した。

 DH&先発投手としてプレーしてMVPを受賞した、2021年と2023年の大谷翔平(当時ロサンゼルス・エンジェルス/現ロサンゼルス・ドジャース)を除くと、ここ10年のMVPに投手はいない。MVPに選ばれた投手は、2014年のクレイトン・カーショウ(当時ドジャース/現FA)が最後だ。その後は、2位と3位の投手も途絶えている。

 ちなみに、スキーンズと今永の両投手は、サイ・ヤング賞の投票でも票を得た。新人王と順位の「逆転」は起きておらず、スキーンズが3位(53ポイント)、今永は5位(38ポイント)に位置した。今永の順位は、ナ・リーグの左投手では、受賞したクリス・セール(アトランタ・ブレーブス)に次ぎ、2番目に高い。

 セールは、MVP投票で7位(99ポイント)。ア・リーグでサイ・ヤング賞に選ばれたタリック・スクーバル(デトロイト・タイガース)も、MVP投票の順位は7位(93ポイント)だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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