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ここ4年に103セーブを挙げた投手がノンテンダーFAになる。契約を交わす価値あり!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーダン・ロマーノ May 4, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月22日、トロント・ブルージェイズは、リリーバーのジョーダン・ロマーノディロン・テイトをノンテンダーとした。契約を申し出られなかった彼らは、FAになった。

 ロマーノは、2021年以降の4シーズンに、103セーブを挙げている。このスパンにおける、5番目の多さだ。157セーブのエマニュエル・クラッセ(クリーブランド・ガーディアンズ)、137セーブのジョシュ・ヘイダー(現ヒューストン・アストロズ)、135セーブのケンリー・ジャンセン(現FA)、118セーブのライセル・イグレシアス(現アトランタ・ブレーブス)に次ぐ。95セーブ以上の投手は、他にはいない。

 このスパンのロマーノは、セーブが多いだけではない。199登板で199.2イニングを投げ、奪三振率10.95と与四球率3.34、防御率2.66を記録した。セーブ成功率は89.6%だ。年齢は、来年4月に32歳の誕生日を迎える。

 ただ、2024年は、それまでの3シーズンとは大きく異なる。肘を痛めて出遅れ、4月中旬から5月下旬までに、15登板の13.2イニングで奪三振率8.56と与四球率2.63、防御率6.59。再び離脱し、その後の登板はなし。7月初旬に肘の手術を受けた。

 2024年の年俸は775万ドルだ。年俸調停の申請権を持っていたので、2025年も同程度の年俸となる見込みだった。

 とはいえ、受けたのはトミー・ジョン手術ではない。また、2024年のサンプル数は少ないものの、スタットキャストのデータで2023年と2024年を比べると、4シームの平均球速は96.7マイル→96.4マイル、スライダーの空振り率は38.6%→38.6%だ。両球種とも、回転量が減り、4シームの空振り率は32.3%→6.5%と急降下しているが、肘が万全の状態に戻れば、2025年に復活を遂げる可能性もある。

 2024年と同額に近い年俸の契約はリスクが高すぎるにしても、ブルージェイズを含むどの球団も、ブルペンに加える価値はあるように思える。例えば、年俸が安くても、登板数や完了数などの出来高をすべてクリアすれば、年俸と合わせて700~800万ドルに達する1年契約なら、球団のリスクは低い。この契約なら、ロマーノも、受け入れるのではないだろうか。

 ブルージェイズのブルペンが2024年に記録した、奪三振率7.99と防御率4.82はワースト2位(与四球率3.63はワースト9位)だ。どちらも、その下に位置したのは、コロラド・ロッキーズのブルペンだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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