離婚時にやめて欲しいこと!子どもの苦しみに気付いてますか?「片親サバイバー」の声。
片親サバイバーとして子どもたちをサポートしているランさんに引き続きお話を伺いました。
離婚、再婚、連れ去り被害の経験から片親に苦しむ子どもをサポートする「片親サバイバー」とは?(明智カイト)
「片親サバイバー」とは?
ランさんは「片親サバイバー」と名乗り、片親に苦しむ子どものサポートや、「不都合な片親」だった場合に子どもがどれほど理不尽で苦しい状態に立たされているのかを伝える活動をしています。また、片親サバイバーを生み出す原因となっている「離婚後単独親権制度」の弊害や、「連れ去り別居(実子誘拐)」という違法行為についての認知普及活動など、健全で幸せな親子関係構築のお手伝いをしています。
子どもの運命も左右する第三者の存在
ランさんが大人になってから、子の連れ去りの裏には多くの場合に「第三者」が介入していることがわかってきました。たとえば友人や職場の同僚、信頼できる知人、役所の相談員や弁護士などなど、夫婦関係のことを誰に相談するかによって子どもは幸せになるか、不幸になるかが大きく変わってしまいます。少なくともランさんが子ども時代に経験してきた虐待や差別偏見を伴った「片親環境」は、適切な第三者が介入していれば生まれなかったのに、と思います。
もっと具体的に説明すると、相談する第三者が「一方の親の幸せ」を考えるのか、それとも「子どもの幸せ」を考えるのか、その視点の置き方によって子どもたちの「片親環境」は大きく左右されるのです。
気を付ける必要があるのは離婚弁護士に相談するケースです。なぜなら弁護士は客観的に見えますが「一方の親の利益」を考える存在であり、決して「子どもの利益」を優先する存在ではないからです。そして多くのケースにおいて「一方の親の利益=親権」なのです。そのため、子どもがその後どれだけ過酷な「片親環境」に置かれるかも知らず、子の連れ去りを指示するケースが後を絶ちません。子どもの幸せがないのに、幸せになる家庭などありません。
子の連れ去りは「一方の親の幸せ」に基づいた行為
『連れ去られる時に「なんで黙って出て行かなきゃいけないの?」と思っても、声に出せば母親から叩かれ、子どもながらに「不誠実な何か」をしている感覚が強くありました。「相手に見つかったらどうなるの?」「なんで誰にも言わずに出て行くの?」と真っ暗な道をあてもなく歩いているような感覚です。その闇に飲み込まれて自分がどす黒くなっているように思えて、とても恐ろしかったのを今でも覚えています。平たく言えば、犯罪者になった気分でした。』と、当時の出来事をランさんは振り返ります。
連れ去り後の片親環境は本当に過酷です。犯罪者のような思いを抱えながら生きて行くだけで、いつ心が潰れてもおかしくはありません。そのような環境下で、子どもにとって親は2人なのに、まるで1人しかいないかのように育てられます。事実、ランさんの家では「父親」の話はタブーでした。口にすれば「そんなに父親がいいならもうお前を育てない!出て行け!」「自分で金を稼げ!」「産まなきゃよかった!」「一切、ごはんを作ってやらないからな!」などと言われたそうです。実際に食事がなく、お腹を空かせたことも幾度となくありました。両親が別れるのは仕方ない…、子ども心にもそれくらいはわかります。しかし、もう一方の親に会えない理由は何度考えても答えが見つかりませんでした。
ランさんは「私の声を聞いてくれる人はいないのかな…」とよく思ったそうですが、子ども寄りの第三者がサポートしてくれていればこれほど過酷な「片親環境」もなく、親子の交流も絶たれることはなかったと言います。両親との健全な交流があるだけで子どもは後ろめたさを感じず家庭の話を友人たちにできるようになり、ずっと生きやすくなります。しかし、弁護士が介入している場合は、ほぼ親子の交流は断絶してしまいます。一方の親と別れたからもう会いたくない、そんな子どもは基本的にはいません。むしろ別れたからこそ、子どもは親に「会いたい」と思うものです。
もちろんすべての弁護士が悪いわけではなく、多角的にアドバイスをする人もいるでしょう。しかし、ランさんの知るケースでは、夫婦仲に問題がなくても強引に離婚させられたり、依頼人の意向を無視して弁護士が調停や裁判を起こしたりすることもありました。「やめたほうがいいよ」と連絡を入れる友人や知人に対して、弁護士が直接「連絡とったら訴えるぞ!」という主旨の脅迫めいたメールを送って夫婦仲が回復しないよう第三者にまで圧力をかけるケースもあります。果たしてそのようなことが行われていて、その後の家庭が幸せになるでしょうか。
無理な別れ方をすればその家庭に次の幸せは訪れない
たとえば再婚を考えている相手のことを「この人のこと、どう思う?」と、子どもに聞く親がいます。ランさんの場合は再婚相手の家に住むことになってから尋ねられましたが、「えっ、それを聞く前に、離婚の仕方に納得しているのかをなんで聞いてくれないの?」と、順番逆でしょ!と訝しく思ったそうです。
子どもにとって納得した「別れ方」ができていないのに、再婚したところで義理の親子がうまくなんていきません。むしろ険悪になります。ここでつまずいていることが、昨今のような虐待死の事件を引き起こす一因になっているとランさんは感じていました。
『夫婦の問題を解決する際、「子どもの幸せ」を中心に考えるかどうかで、子どもの幸せはもちろんその後の「片親環境」は大きく左右されてしまいます。とくに調停や裁判などは、書面上の争いが激化し、子どもにとっては「最もしんどい」環境です。その場合は弁護士だけではなく心理や児童の専門家も必ず間に入るように制度化するなど、「依頼人の幸せ」ではなく「子どもの幸せ」を中心に考える第三者が必要だと実体験も含めてつくづく思います。それが結局、家庭の幸せになるからです。間違っても、私のように「お前はどっちの親がいいんだ!」などと問われることがない環境を子どもに用意してほしいと思います。』と、ランさんは訴えていました。