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佐々木勇気八段、藤井聡太竜王への挑戦権獲得か 広瀬章人九段、追いつくか 8月13日、竜王戦挑決第2局

松本博文将棋ライター

 8月13日。東京・将棋会館において第37期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局▲広瀬章人九段(1組4位、37歳)-△佐々木勇気八段(2組優勝、30歳)戦がおこなわれます。

 第1局は先手の佐々木八段が89手で勝ちました。

 第2局は先後が替わって、広瀬九段が先手となります。

 佐々木八段が勝てば2連勝で藤井聡太竜王(22歳)への挑戦権を獲得。佐々木八段にとっては初のタイトル戦番勝負登場となります。

 広瀬九段が勝てば両者1勝1敗となり、挑戦権のゆくえは第3局の結果次第となります。

 両者の過去の対戦成績は4勝ずつでまったくのイーブン。直近では佐々木八段が3連勝中です。

 今年度成績は、広瀬九段は8勝4敗。佐々木八段は9勝1敗です。

第1局は佐々木八段快勝

 第1局は7月29日、東京・将棋会館でおこなわれました。

 佐々木八段先手で、戦型は角換わり腰掛銀。現代最前線の戦いとなりました。

 50手目。広瀬九段が佐々木陣に銀を打ち込みます。対して佐々木八段も広瀬陣に銀を打ち込みました。

佐々木「なんか終盤戦のような展開なんですけれど。均衡がとれていて、そこからまた折り合う将棋になるのかなと思っていて。ちょっとその将棋をやってみたくて」

 昼食休憩明けの55手目。佐々木八段は左端に金を打ちつけて受けます。これが用意の好手でした。

佐々木「この展開はそうですね。▲9七金は、はい、研究してました」

 このあと、佐々木八段はほとんど完璧に近い指し回しで、優位に立ちます。

佐々木「なんかずっと緊張感のある局面が続いていたので。ギリギリだとは思ったんですけど、最後、夕休の(73手目)▲4四銀と上がったところは、駒の勢いがいいのかなと思ってました」

広瀬「考えたことあったと思うんですけど。なつかしい形で。なにも思い出せなくて。日頃の研究不足がたたってしまったなと思いました。プロ的には大差になってしまったので。まあ、ギリギリの変化ですけど、ギリギリはっきり足りない変化ばかりだったので。あとは指してるだけになってしまいました」

 89手目。佐々木八段は一段目に金を打って、広瀬玉の逃げ道をふさぎ、受けなしに追い込みます。対して佐々木玉は危ないようでも詰みはありません。ここで広瀬九段が投了し、佐々木八段の勝ちとなりました。

佐々木「角換わりの中でも指してみたい形の一つではあったので。それがさせたことはよかったなと思います。竜王戦ではいい将棋が指せているので。この状態のまま第2局を迎えることができたらと思います」

広瀬「とにもかくにも日頃の研究不足だったなと。はい、その一点に尽きます。本局では将棋にならなかったので、次はちゃんと将棋になるようにがんばります」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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