合計5億ドルで加入した二塁手と遊撃手にポジションを奪われ、昨年の併殺デュオはどうなる!?
ロックアウトに入る前に、テキサス・レンジャーズは、2人の内野手と計5億ドルの契約を交わした。マーカス・シミエンと7年1億7500万ドル(2022~28年)、コリー・シーガーとは10年3億2500万ドル(2022~31年)だ。彼らは、それぞれ二塁と遊撃を守る。
昨年、レンジャーズで併殺デュオを組んだのは、ニック・ソラックとアイザイア・カイナー-ファレファだ。どちらも、レンジャーズを去ってはいない。今シーズンの年齢(6月30日時点)は、ともに27歳。2人がFAになるのは、開幕の遅延あるいは新たな労使協定によって変動するかもしれないが、2025年のオフと2023年のオフの予定だ。
ソラックは、外野に回る可能性が高い。二塁に固定された昨年と違い、一昨年は、レフト、二塁、センターの3ポジションで、各10試合以上に先発出場した。2年続けてOPS.680未満なので、レギュラーには物足りず、現時点のメンバーからすると、左打者との併用だろう。ロックアウト後に新たな外野手が加わった場合は、内外野を守るユーティリティとなりそうだ。
一方、カイナー-ファレファは、三塁手として開幕を迎える。一昨年にゴールドグラブを受賞したポジションに戻る。昨年の三塁は、レギュラー不在だった。三塁手として先発50試合以上の2人、チャーリー・カルバーソン(60試合)とブロック・ホルト(57試合)は、FAになった。
ロックアウト前の時点では、カイナー-ファレファはトレードで放出されてもおかしくなかった。レンジャーズには、2019年にドラフト全体8位で指名したジョシュ・ヤンがいる。昨年の夏、ヤンはAAからAAAへ昇格し、その前後ともOPS.900以上を記録した。ポジションは三塁だ。SNY(スポーツネット・ニューヨーク)のアンディ・マルティノによると、レンジャーズとヤンキースは、ロックアウトに入る前に、カイナー-ファレファのトレードについて話し合ったという。
ただ、状況は変わった。2月半ば、ヤンはトレーニングの一環として行っていたウェイト・リフティングで左肩を痛め、下旬に手術を受けた。復帰までは、半年かかるらしい。
レンジャーズからすると、ロックアウトによって移籍の動きも止まっていたのは不幸中の幸い、という見方もできる。順序が違い、ヤンが負傷する前にカイナー-ファレファを手放していれば、三塁を守る選手を探す必要に迫られていた。
カイナー-ファレファとしても、移籍して開幕を迎えるよりも、レンジャーズにいたほうがよかったと思われる。これまでの4シーズンとも、OPS.700以上は皆無。好守とはいえ、新天地ではどれだけ出場機会を得られるか、定かではなかった。