ぺったんこ広場がある旧有明町の玄関口 長崎本線 肥前竜王駅(佐賀県杵島郡白石町)
令和4(2022)年9月23日の西九州新幹線開業によりローカル線に転落した長崎本線の江北(旧:肥前山口)~長崎間。そのうち江北寄りの江北~肥前浜間は電化設備も維持され、列車も一、二時間に一本と肥前浜以南と比べると多い。江北から二駅目が肥前竜王駅だ。
肥前竜王駅は昭和5(1930)年3月9日、肥前山口から伸びてきた有明線の終点として開業。同年11月30日の肥前浜延伸で途中駅となった。当時の所在地は杵島郡竜王村で、山梨県中巨摩郡竜王村(現:甲斐市)に既に竜王駅(中央本線)があったことから、国名の「肥前」を駅名に冠している。
駅南方には山が平野に突き出た「龍王崎」がある。龍王崎はかつて海に突き出た半島だったのが、海が平野に変わったことで山になった地形で、龍神を祀る海童神社が鎮座している。
構内は相対式一面二線。新幹線開業以前の長崎本線は特急が高頻度で運転される「特急街道」で肥前竜王駅でも列車の行き違いや退避が行われていた。現在は列車の行き違いの場合を除き、全ての列車が駅舎側の1番線に発着する。
肥前竜王駅は昭和47(1972)年2月10日に無人化。駅舎は平成4(1992)年3月25日に木造駅舎から簡易駅舎に改築された。駅前は「ぺったんこ広場」と名付けられており、地元で行われるもち米の収穫祭「ぺったんこ祭り」で餅つきをする人たちの像が建てられている。
駅がある竜王村は昭和30(1955)年4月1日に杵島郡錦江村と合併して杵島郡有明村となり、南有明村を編入したのち、昭和37(1962)年10月1日に町制施行して杵島郡有明町となった。有明町は平成17(2005)年1月1日に白石町、福富町と合併して杵島郡白石町の一部となっている。肥前竜王駅近くにある庁舎は昭和58(1983)年に建てられたかつての有明町役場だ。
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