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今年の干支「辰」「龍」「竜」がつく駅はいくつある?

清水要鉄道・旅行ライター
野岩鉄道会津鬼怒川線 龍王峡駅

今年、令和6(2024)年の干支は「辰」、同じ動物を表す同音の漢字としては「龍」「竜」がある。新年二本目のこの記事ではそれら3つの漢字がつく駅名について紹介していくとしよう。

中央本線・飯田線 辰野駅
中央本線・飯田線 辰野駅

「辰」がつく駅名は二つあり、そのうち一つが長野県の辰野駅だ。上伊那郡辰野町の玄関口で、中央本線旧線から飯田線が分岐する駅でもある。JR東日本とJR東海の境界駅で、駅自体はJR東日本が管理している。

東京メトロ有楽町線 辰巳駅
東京メトロ有楽町線 辰巳駅

「辰」がつくもう一つの駅が東京都江東区の辰巳駅だ。駅がある辰巳地区は埋め立て地で、皇居から見て辰巳(南東)の方角にあることからこの地名が付いた。

小海線 龍岡城駅
小海線 龍岡城駅

「龍」がつく駅名は5つある。その一つが長野県佐久市の龍岡城駅だ。駅名は龍岡城という城跡に由来する。龍岡城は大給松平家一万五千石の田野口藩の居城で、函館の五稜郭と共に日本で二つしかない星形要塞の一つだ。

野岩鉄道会津鬼怒川線 龍王峡駅
野岩鉄道会津鬼怒川線 龍王峡駅

野岩鉄道会津鬼怒川線の龍王峡駅は栃木県日光市にある。鬼怒川上流の景勝地・龍王峡の最寄り駅で、ホームの新藤原寄りはトンネル内にあるという珍しい造りだ。

京都市右京区の京福電鉄北野線 龍安寺駅は石庭で有名な龍安寺の最寄り駅だ。平成19(2007)年3月19日までは「竜安寺道」を名乗っていた。

京都市伏見区の京阪本線 龍谷大前深草駅は、その名の通り龍谷大学深草学舎の最寄り駅だ。令和元(2019)年10月1日に「深草」から改称された。

関東鉄道竜ヶ崎線 竜ヶ崎駅
関東鉄道竜ヶ崎線 竜ヶ崎駅

茨城県龍ケ崎市には「龍」と「竜」が混在している。市の中心にある関東鉄道竜ヶ崎線の駅が「竜ヶ崎駅」なのに対して、市の西部にある常磐線の駅は「龍ケ崎市駅」だ。ただし、竜ヶ崎駅もかつては「龍ケ崎」を名乗っており、昭和29(1954)年に「竜」が当用漢字とされたことから現在の字に改称されている。龍ケ崎市駅は長らく「佐貫」を名乗っていたが、市名に合わせて令和2(2020)年3月14日に改称された。ただし、隣接する関東鉄道竜ヶ崎線の駅の方は佐貫駅のままである。

越美北線 九頭竜湖駅
越美北線 九頭竜湖駅

「竜」がつく駅名は16駅ある。福井県大野市にある越美北線の終点・九頭竜湖駅もその一つだ。駅開業前の仮称は「越前朝日」だったが、九頭竜ダムの人造湖から取って九頭竜湖駅と命名された。

長崎県佐世保市にある松浦鉄道西九州線の潜竜ヶ滝駅の駅名は、平戸八景の一つである潜竜ヶ滝という滝に由来する。国鉄時代は「潜竜」を名乗っていた。

竜田駅
竜田駅

常磐線の竜田駅は福島県双葉郡楢葉町の玄関口だ。東電原発事故の影響で常磐線が一部不通となっていた際には一時的な折り返し駅となっていた時期もある。駅の近くには龍田神社があり、これが旧村名および駅名の由来となっている。龍田神社は奈良県生駒郡三郷町の龍田大社から勧請したもので、こうした神社から地名がつく例は「諏訪」「鹿島」「熊野」「八幡」など枚挙にいとまがない。

近鉄生駒線 竜田川駅
近鉄生駒線 竜田川駅

そんな「竜田」地名の本家本元である奈良県にあるのが近鉄生駒線の竜田川駅だ。三郷町の隣・生駒郡平群町に所在する。駅名の由来・竜田川は古来より紅葉の名所として知られ、在原業平の「ちはやぶる神世も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」の和歌で有名だ。竜田揚げは揚げた後の色が紅葉のように見えることから、その名所である竜田川にちなんで名づけられたという説がある。

豊肥本線 竜田口駅
豊肥本線 竜田口駅

熊本県熊本市北区の竜田口駅の周辺には「龍田」「立田」と異なる表記の地名が混在しており読みも「たつた」と「たつだ」がある。龍田神社由来の地名かと思いきや、近くに龍田神社があるわけでもなく、その由来ははっきりしない。駅近くの立田山には細川家の墓所がある。

山陽本線 竜野駅
山陽本線 竜野駅

山陽本線の竜野駅と姫新線の本竜野駅があるのは兵庫県たつの市。漢字で書くと「龍野」で、脇坂家龍野藩の城下町かつ素麵の産地として有名である。先に開業した竜野駅は隣町の旧揖保郡揖保川町に所在しており、龍野市街に後から開業した姫新線の駅は「本」を冠して区別することになった。両駅とも「竜」が当用漢字となるまでは「龍」の表記だったそうだ。

東海道本線 天竜川駅
東海道本線 天竜川駅

「竜」がつく駅名が集中しているのが天竜川流域で、上流から飯田線の天竜峡駅(長野県飯田市)、中部天竜駅(浜松市天竜区)、天竜浜名湖鉄道天浜線の天竜二俣駅(浜松市天竜区)、東海道本線の天竜川駅(浜松市東区)の4つである。川に沿ってその名にちなんだ駅名が点在するのはよくあることだが、そのうち3つが浜松市に所属しており、地図でこれらの駅の位置を見るといかに市域が広いのかがよくわかるというものである。

中央本線 竜王駅
中央本線 竜王駅

中央本線の竜王駅は山梨県甲斐市の代表駅である。平成の大合併までは中巨摩郡竜王町だった。駅舎は建築家の安藤忠雄氏がデザインしたもので、スタイリッシュなデザインだが、全体像を写真に撮りにくい駅巡er泣かせの駅でもある。

長崎本線 肥前竜王駅
長崎本線 肥前竜王駅

佐賀県杵島郡白石町にある長崎本線の肥前竜王駅は、竜王駅よりも開業が遅かったことから区別のために国名を冠した。開業時の所在地は杵島郡竜王村で、有明町を経て白石町となっている。近くにある「龍王崎」はかつて海に突き出た半島で、龍神を祀る海童神社が鎮座しているため、おそらくこれが地名の由来だろう。

日豊本線 竜ケ水駅
日豊本線 竜ケ水駅

鹿児島県鹿児島市にある日豊本線の竜ケ水駅は、錦江湾を望む景色の美しい駅として知られている。鹿児島駅の隣という立地ながら利用者は少なく、普通列車でも大半が通過し、SUGOCA利用エリアからも取り残されている。平成5(1998)年8月6日の集中豪雨では土石流で被害を受けた。

群馬県太田市にある東武小泉線の竜舞駅は、小泉線唯一の中間駅だ。貞観3(861)年に起きた反乱を鎮圧した藤原長良は、勝利祈願として陣内各地にまつり旗を立てさせたが、この旗が風に舞う様子が龍に見えたことから「龍舞」の地名が付いたと言われている。

以上、「辰」「龍」「竜」がつく駅名を紹介してみた。辰年の今年は干支にちなんでこれらの駅を訪れてみるのはいかがだろうか。

鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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