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名古屋がGW家族旅行の人気伸び率で全国1位に!その理由とは?

大竹敏之名古屋ネタライター
レゴランド、名古屋港水族館、東山動植物園、リニア・鉄道館などはファミリーに人気

宿の予約が去年の7倍に!ファミリーからの人気が急上昇

「ゴールデンウィークの国内家族旅行 人気上昇エリアランキング 1位は愛知(=名古屋)!」。こんな意外な(?)結果が「楽天トラベル」より発表されました。

■楽天トラベル 「ゴールデンウィークの家族旅行!2019年の人気上昇エリアランキング」

1位 愛知県(金山・熱田・千種・ナゴヤドーム) 前年同期比+ 608.8%

2位 鳥取県(倉吉・三朝温泉)+594.9%

3位 新潟県(越後湯沢・苗場)+565.2%

4位 北海道(ルスツ・ニセコ・倶知安)+545.2%

5位 沖縄県(糸満・豊見城・南城)+474.7%

これは今年のGW10連休(4月27日~5月6日)の予約人泊数(予約人数×泊数)をもとに昨年と比較して割り出したもの。集計日は今年2月13日で、対象は小学生以下の子ども連れ利用者。単に「行ってみたい」という実態をともなわないデータではなく、リアルな宿の予約状況から導き出された数字です。「人気上昇率」なので、「前年まで人気がなかったんだろ!」とツッコミが入る余地はありますが、それでも宿の予約が約7倍にも増えているのですから、相当数の観光客が名古屋を目的地にしていることは間違いありません。

ちなみに楽天トラベルでは名古屋を「名古屋・伏見・丸の内」(=名古屋駅周辺)「栄・錦・名古屋城」(=繁華街の栄周辺)「金山・熱田・千種・ナゴヤドーム」(それ以外)の3つにエリア分けしていて、すなわち「金山~」は中心部以外の名古屋港など郊外へ移動しやすいエリアという意味。決して「千種」や「ナゴヤドーム」が旅行の目的地として人気急上昇した、というわけではないので誤解のなきように。

親子2世代で楽しめる施設が豊富でファミリー層から支持

楽天トラベルでは、この結果を「今年は親子で休みを取りやすい日取りにより、子ども連れ利用者の予約数は昨年比約3倍と伸びました。結果として、名古屋港水族館やリニア・鉄道館、レゴランド・ジャパンなど、ファミリー向けのレジャースポットを複数擁している同エリアの人気上昇につながったと想定できます。2位の鳥取県もアニメ『名探偵コナン』ゆかりの地であるように、今回の調査は『家族旅行』にしぼってランキング化したため、親子2世代で楽しめるエリアが上位に並んだと考えられます」と分析。さらに今年のGW旅行全般の特徴として「過去の調査と比べて、ランキング上位に都市部以外のエリアが多く入っています。今年のGWは地方まで足をのばす傾向が強い」と考察しています。

レゴランド・ジャパンのアトラクションは親子で楽しめるものばかり。スケールがコンパクトなので小さな子どもと一緒に回るにはちょうどいい
レゴランド・ジャパンのアトラクションは親子で楽しめるものばかり。スケールがコンパクトなので小さな子どもと一緒に回るにはちょうどいい

この結果をけん引している要因のひとつがレゴランド・ジャパン・ホテルです。ちょうど1年前のGWに開業した同ホテルは、キッズファーストをコンセプトとしたまさしく家族旅行向けの施設。実際に「春休みはお子様連れのお客様中心にほぼ満室で、GWも同様。若干だけ空きがある状況です」(レゴランド・ジャパン広報)といいます。(参照記事 「レゴランド・ジャパン・ホテルの満足度やいかに?子どもと一緒に泊まってみた!」

レゴランド・ジャパン・ホテル。客室には子ども専用2段ベッドや宝探しがあり、館内が丸ごとテーマパークになっている
レゴランド・ジャパン・ホテル。客室には子ども専用2段ベッドや宝探しがあり、館内が丸ごとテーマパークになっている

「エンタメ旅行というとTDLやUSJのイメージが強いですが、小さな子どもがいる家族向けという面では、名古屋地区は非常に充実しています」というのは名古屋市観光文化交流局・ナゴヤ魅力向上室の田頭泰樹室長。

「東山動植物園はスケールも生き物の種類も日本一といってもいいレベルで例年GWは大にぎわい。名古屋港エリアは人気が高いし、お隣の三重県のナガシマスパーランドや名古屋アンパンマンこどもミュージアム&パークも名古屋港から高速で20分ほどで行ける。子どもが楽しめるコンパクトで充実したエリアとして、名古屋が選択されているのではないでしょうか」ともともとのポテンシャル、利便性の高さが評価されたと分析。発信の機会が増えたことで、その価値が認知されるようになってきたといいます。

名古屋港水族館は国内3位の年間約200万人の入館者を集める。昨年7月オープンの新展示「くらげなごりうむ」は子どもたちにも大人気
名古屋港水族館は国内3位の年間約200万人の入館者を集める。昨年7月オープンの新展示「くらげなごりうむ」は子どもたちにも大人気

「名古屋の人にとっては地元のエンタメ施設というイメージがあり、他県の人が宿泊してまで来る場所だとは思っていなかった。そのため、価値が外へ向けてきちんと伝わっていなかったと感じます。2016年の“全国8主要都市の中で名古屋が一番魅力がない、行きたくない”というアンケートの結果が拡散されたことで、結果として名古屋の話題性が高まった。本当に魅力がなければ、今回の調査で全国トップになることは難しいでしょうが、実は観光コンテンツが充実している。今後、発信、拡散される情報量をさらに増やしていけば、今回のように常に上位を狙える街になれると思います」(田頭室長)。

名古屋の観光客は10年余りで50%増

市が発表している「名古屋市観光客・宿泊客動向調査」でも、市内の観光入込客数は2014→2017年度で3965万人→4331万人→4727万人→4734万人と毎年最高記録を更新し、増え続けています。ちなみに2006年度は3074万人。10年ちょっとで50%以上も観光客が増えているのです

他地域と比べても伸長ぶりは顕著です。「都道府県別に見た日本人国内観光客数のトレンド」(農林中金総合研究所)によると、2011→2016年の観光客数推移で、愛知県は47都道府県中最高位にランキングされています。2010年を100とした場合の2016年までの指数で愛知県163、岡山県166、愛媛県175の3県が「最高位」。全体の指数104に対して伸び率は突出しています。

愛知県内にも家族向けの観光施設は多い。「南知多ビーチランド」は距離感ゼロのイルカショーや動物たちとのふれあい体験が好評。車でも電車でも名古屋市内から約1時間(写真提供/南知多ビーチランド)
愛知県内にも家族向けの観光施設は多い。「南知多ビーチランド」は距離感ゼロのイルカショーや動物たちとのふれあい体験が好評。車でも電車でも名古屋市内から約1時間(写真提供/南知多ビーチランド)

観光地というイメージがあまりない名古屋ですが、実際には観光客が大幅に増えていることはデータからも明らかです。特にファミリー向けの観光スポットは、先にも挙げたレゴランド、リニア・鉄道館、名古屋港水族館、東山動植物園など、国内を代表する施設が目白押し。車や鉄道でアクセスのよい周辺エリアにも、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)や南知多ビーチランド&南知多おもちゃ王国、ラグナシア、日本モンキーパーク、野外民族博物館リトルワールド、博物館明治村など選択肢はバラエティ豊かに揃っています。

筆者のお薦め名古屋観光は、名古屋城での名古屋おもてなし武将隊の演武。休日は午前と午後の2回開催し、迫力満点のパフォーマンス、ユーモアあふれる寸劇を披露し、終演後は一緒に記念撮影もできる(写真提供/名古屋おもてなし武将隊事務局)
筆者のお薦め名古屋観光は、名古屋城での名古屋おもてなし武将隊の演武。休日は午前と午後の2回開催し、迫力満点のパフォーマンス、ユーモアあふれる寸劇を披露し、終演後は一緒に記念撮影もできる(写真提供/名古屋おもてなし武将隊事務局)

冒頭のようにGWの宿予約はかなり埋まっている状況ですが、旅行サイトを小まめにチェックしているとキャンセルによる空きも意外と見つかるもの。GWの予定がまだ決まっていないという方、ファミリーはあらためて旅の目的地として名古屋を候補に挙げてみてはいかがでしょうか。

(写真撮影/クレジット記載のもの以外はすべて筆者。記事中の「都道府県別に見た日本人国内観光客数のトレンド」は『金融市場』2017年12月号44ページ、農林中金総合研究所 佐藤彩生著)

名古屋ネタライター

名古屋在住のフリーライター。名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する。最新刊は『間違いだらけの名古屋めし』。2017年発行の『なごやじまん』は、当サイトに寄稿した「なぜ週刊ポスト『名古屋ぎらい』特集は組まれたのか?」をきっかけに書籍化したもの。著書は他に『サンデージャーナルのデータで解析!名古屋・愛知』『名古屋の酒場』『名古屋の喫茶店 完全版』『名古屋めし』『名古屋メン』『名古屋の商店街』『東海の和菓子名店』等がある。コンクリート造型師、浅野祥雲の研究をライフワークとし、“日本唯一の浅野祥雲研究家”を自称。作品の修復活動も主宰する。『コンクリート魂 浅野祥雲大全』はその研究の集大成的1冊。

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