中国人富裕層が不満を感じる、日本のタワーマンション内の「あれ」の位置
最近、中国人富裕層の中国脱出が増えている。投資移住コンサルティング会社、ヘンリー&パートナーズが6月13日に発表したレポートによると、今年、中国人富裕層の国外流出は約1万3500人に上るという。
日本にもすでに多くの中国人富裕層が移住してきており、彼らは東京都心の高級タワーマンションなどを好んで購入しているが、彼らに話を聞いてみると、日本のマンションの「意外なところ」に不満を持っていることがわかった。
タワマンの眺望はすばらしいが……
昨年、港区内にあるタワーマンションを購入した女性はこんなことを語っていた。
「知り合いの紹介で購入したマンションですが、高層階なので眺望がすばらしく、とくに、窓からわずかですが、東京タワーが見えるところが気に入っています。日当たりもよく、周辺に自然が多いのもいいですね」
この女性は日中を往復する二重生活を送っており、1年の半年以上はこのマンションに住んでいる。日本に滞在しているときはせめてリラックスしたいと、あらゆる家財道具を揃えるなど、生活環境を整えたという。
東京にはホームセンターも多く、おしゃれなインテリア用品や便利グッズも多いので、それらを買い揃えることは楽しかったと話すが、日本のマンションで唯一、いまも気に入らない点があるという。それはキッチンの位置だ。
中華料理を作るのには不向き
「中国と日本では生活習慣も違うし、マンションの間取りが異なるのは仕方がないと思うのですが、日本のキッチンは、リビングとつながったアイランドキッチンだったり、対面式のカウンターキッチンだったりすることが多いのですね。
家族と話しながら料理できたり、開放感があったりするのがメリットだ、と不動産屋さんから聞いたのですが、中華料理を作るのにはちょっと不向き。なぜなら、中華料理は油を大量に使うので、そういう間取りだと、かなり強い換気扇を使っても完全に換気するのが難しいからです。
できるだけ、リビングとは別の独立したキッチンがあるマンションを探したのですが、そういうマンションで眺望もすばらしいところとなると、条件が合わず、残念でした」
確かに、言われてみれば、中国のマンションのキッチンは独立した部屋になっていることが一般的だ。さらにキッチンに窓や扉がついていることも多い。料理する際、換気扇を使うだけでなく、窓も開けられるようになっている。
中国では一般的なマンションでもこのような配置になっていることが多いが、中国ではそれが普通なので、この中国人から言われるまで、私も気がつかなかった。
だが、日本では、一戸建て住宅や、角部屋など一部を除き、窓辺にキッチンが配置されているタイプのマンションは多くはない。マンション全体の構造などにも関係してくることだが、中国人からその点が不満なのだと聞いて、私は「なるほど」と思った。
ワンルームが不人気な理由
思い出したのは、以前、取材した日本の賃貸専門の不動産会社の担当者の話だ。この担当者は、主に留学生などにワンルームマンションなどを紹介していると話していたが、中国人留学生に人気なのは、1Kや1LDKの間取りで、1R(ワンルーム)はあまり人気がないと話していた。
その理由は、1Rはキッチンと部屋がつながっているから。彼らは油が多い中華料理を作ることが多いので、臭いがついたり、部屋が汚れたりするから1Rは避けるということだった。
十数年前、私の知人の中国人も、留学先の大学近くに下宿していたが、下宿先で、キッチンが空いているときに、好きな中華料理を作らせてもらったところ、「そんなにたくさん油を使うの?」と驚かれたと話していた。キッチンが汚れることから、だんだんその家に住みづらくなって、引っ越したと話していたのを思い出した。