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結果が欲しければ結果ばかりを求めるな。堀江翔太の視線。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ドレッドヘアがトレードマーク(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 ラグビーのリーグワン1部で2連覇を狙う埼玉パナソニックワイルドナイツは、3月25日、敵地の豊田スタジアムでトヨタヴェルブリッツに激突した。

 イエローカードによる10分間の一時退場者を2度も出しながら、19―10で開幕13連勝を決めた。

 昨季、リーグワンの初代MVPとなったフッカーの堀江翔太は、2度目の「14人」の時間帯だった後半11分に出場。まさにピンチヒッターの趣だったが、当の本人は落ち着いていた。

 試合後の談話には、勝つチームの普遍がにじんだ。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——投入された際の思いは。

「やることを、やっていこうと。トライラインを背負う状況でも、それ(積み上げたもの)を出そうという感じ。僕が入ってからは、ディフェンスでの人数合わせ(を重視)。相手が攻撃したい側にずっと人数を入れるように、という感じではいました。しっかり前を見て、フォワードが残っているところ、バックスが残っているところをしっかり見てさえいれば…と、意識していました」

——あまり焦っていないように映りました。

「そうっすね。あの感じやと、ペナルティさえなければ点数は獲られない。モール(立ったボール保持者を軸にした塊)さえ止めてしまえば何とかなる。そう思っていたので、まずはモールをどれだけ止めるかは、フォワードに口酸っぱくして言っていました。『速く入れ』。そこだけです。0コンマ何秒も遅ければ、食い込まれる。まずはそこを止めてからじゃないと、次に動いたらあかんよと話しました」

——つくづく、落ち着いています。秘訣は。

「自分のやることに集中しようという話はしていて。その先の結果をどうのこうのと考えるのではなく、その場、その場のやることに集中する、ということじゃないですか。

 前半、焦るところがあったとしたら、そこ、ですよね(ハーフタイム直前に防御を破られたり、故意の反則でイエローカードをもらったりしていた)。何か結果を残そうというのが先走り過ぎて、自分がやることを見失って、本来、蹴らなあかんところを蹴らなかったりとか、ボールキープせなあかんところでできていなかったりということが、多々、あったので、そこは率先して、僕が動いて、見せれば何とかなるかなと。

 拮抗すると、そういうの(目の前の仕事に集中する意識)、見失いがちなんですよね。もちろん僕もそうですし、勝ちたいという思い、『スコアしよう、スコアしよう』という思いが先(走り)過ぎて。スコアするために何が必要なのかが、大切なのに…。(自身は)それを修正して、落ち着かせて、どれだけスコアされようが自分たちのすることをやる、と」

 点を取らなければ勝てない。どのスポーツでもそう言われるだろう。だからこそ注視されるべきは、具体的に何をしたら点が取れるのか、なのだ。

 だからこそ堀江は、攻防のシステム、各種スキルの遂行度合いをチェック。その流れで勝利を掴んでいる。

——今度の勝利を受け、4強以上によるプレーオフ進出が決まりました。

 この問いに堀江は「そうなんですね。へー」と述べた。

「チームって、流動的で、(その時に)よくても、(何かの拍子で)悪くなるもの。常によくなるように、ひとりひとりが努力して、貢献するかが大事。チームができ上がったからって変わることは、ないです。不完全なところもあるし、考え方が一致していないところもある。そこを修正して、頑張りたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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